平出 亜季子さん(アイデザイナー / 株式会社SMIL スミール代表取締役)
静岡県西部に2店舗の美容サロンを経営。「美容の力で世界を笑顔に」をコンセプトに、たくさんの人が美容を通して笑顔になってほしいと、日々奮闘中。18歳の息子と14歳の娘の母。 ▶ブログはこちら
一社)日本まつ毛エクステンション認定機構 講師委員会 委員長
一社)未来学校 講師
本音は「言わなくても気づいて行動してほしい」

藤代 しつもんメンタルトレーニングに興味をもったきっかけは何ですか?
平出 しつもんメンタルトレーニングのトレーナーさんとの出会いがきっかけだったんです。名前言っていいのかな?(笑) 名前は、なおちゃん!!
藤代 伊藤直子さんですね!!
平出 彼女と話していると「考えさせられる質問」が多かったんです。そこで、「こんな風に考えさせるテクニックがあるの?」と聞くと「実は、しつもんメンタルトレーニングを勉強しているの」と返ってきたんです。ちょうどその時に直面していた課題に「スタッフ育成」があったんですよね。スタッフが自分で考えて行動して、成長するためにはどうしたらいいだろうと考えていたのですが、そんなきっかけで学びがスタートしました。
藤代 おーなるほどねぇ。学んでみて変化はありましたか?スタッフさんのことでも自分自身のことでも。
平出 まずは、しつもんの効果を試したかったので、自分自身が一通りワークに取り組んでみました。すると、改めて「自分のこと」や「スタッフのこと」について考えるようになったんです。
藤代 以前は、スタッフの方とどのように接していたの?
平出 基本はトップダウンなんです。私が伝えたことを、スタッフが表現する。
藤代 そこに課題を感じていたの?
平出 そうですね。私が伝えたことを表現してくれるのはいいんだけど、本当は「私が言わなくても、気づいて実践してほしいな」と感じていたんですよね(笑)
藤代 なるほど、なるほど(笑)本当は「言わなくても、気づいて行動してほしい」のだけれど、言わないとやってくれないから、どうしよう?と感じていたんだ?
平出 そうなんです(笑)どちらかというと、私は大きな目標を決めて行動に移すタイプなんです。その目標に向かって生まれてくる課題に対し、自ら閃いて取り組んでほしいなって感じていました。ひらめきですね!!あっ!!あと、しつもんメンタルトレーニングを実践したことで、スタッフ間でお互いで「おもいやり」がでたと思います。
藤代 おー。たとえば?
平出 他のスタッフが喜ぶ言葉とか、嫌だと思う言葉を気遣うようになったかな。
藤代 今までは、そこまで考えずに伝えていたのかな?
平出 そうですね。「この言葉は相手を傷つけてしまうだろう」と。もちろん、人それぞれ言葉の選択は違うけれど、改めて考えて、実践してもらえるようになりましたね。
藤代 チームとしての「理想の関わり方」というか、こんな風に関われたらいいよね、と思えることが、だんだんとお互いにわかってきた感じなのかな。
平出 そうですね。
抽象的な質問でも、繰り返すと変化が起きる

藤代 それは、日々取り組んでいるの?ミーティングみたいにして?
平出 ミーティングもやりますけど、基本は個別ですね。日報を元にして、「今日はどんな学びがあった?」「気づいたことは何があった?」「やってみて、どうだった?」と、しつもんしていきます。
藤代 スタッフの皆さんの反応はどうでしたか?
平出 「考えつかない」「思いつかない」「考えたことも無いからわかりません」と(笑)
藤代 (笑)
平出 「考えたこともなかった」という答えが多かったです。しつもんも漠然としすぎていて。
藤代 そうですよね(笑)「え、何がですか?」って感じかな?
平出 そうそう(笑)それでも「答えは何でもいいんだよ」って伝え続けると、とりあえず何か答えてくれるんです。私も「すべて受けとめる」ことを大切に関わっていたら、徐々に「この人に言うと何でも受け止めてくれるのかも」という安心感をスタッフのみんなにもってもらえるようになったかな。
藤代 曖昧な質問ばかりだと、答える方は「何か意図があるんじゃないか?」と疑ってかかることはあるよね。1日目はあまり答えてくれなかったけど、日にちが経つにつれて、答えが変化していったってこともあるのかな?
平出 変化していきますね。最初は、問いかけても「仕事」についての答えがほとんどなんですよ。けれど、だんだんと、仕事の技術のことだけではなく「自分のメンタルのこと」や「仕事への向き合い方」「人に対する接し方」についても話してくれるように、変化していきました。
藤代 おーなるほどね。何か印象に残っていることはある?覚えていることで。
平出 えーーーー!いっぱいあるけど、そうだな~。あっ!!退職してしまった子なんですけど、その子が言っていたことが印象に残っています。その子は「お客様や社員への接する態度を変えようと思いました」って答えてくれたことがあったんです。いままでは「自分は自分だから、私の性格を受けいれらないだったらいいわよ!わからない方が悪い」といった感じだったんです。その姿勢を見る度に私は、「人の役に立つことが仕事だ」と良く言っていたのですが、あまり変化はなくて..l。でも、しつもんを通じて対話を続けていったら彼女が「もちろん自分はあるんですけど、仕事でそれをおしつけてしまうと、悲しくなってしまう部分があるから、明日から変えます」と言ってくれたんです。「変えたいと思います」ではなくて「変えます!」って言ってくれたことも嬉しかったですね。
藤代 なるほどね!それは嬉しいね。
平出 ま~辞めちゃいましたけどね(笑)
藤代 (笑)いままでは、自分に合わなかったり、自分が大切にしている信念にそぐわない人が「だめだ!」って思っていたけど、でもそうじゃなくて、歩み寄って私も変化することが大事だって気づいてくれたってことかな。
平出 そうですね。主軸を自分だけではなく、相手に合わせるってことも大事なんだなって気づいてくれたかな。
藤代 退職ってさみしいことでもあるよね?その一方で、本当にやりたいことが見つかったっていう素晴らしい側面もある。そのあたりは、経営者としてどのようににとらえている?
平出 私は背中を押すタイプなので「同業者として独り立ちしたいです」と言われても応援しますよ。
藤代 おー、いいね。それは、どうして?
平出 私のもとで色々学んで自信がついたら、次にいくのは当然だなって思ってるんです。ライバルができるという側面からだけ見ると、多くの人は倦厭するんですけど、でもそんなこと言ったら業界自体が盛り上がらないし、私のお客様と彼女のお客様はそもそも違うので。彼女だからこそ届けられる人が増えて、たくさんの人が笑顔になればいいやって思っています。
藤代 なるほど!ぼくもおなじ考えだなぁ。
模擬テスト平均70点から「全国1位」へ

藤代 お子さんとの関係は変化しましたか?
平出 ちょうど、しつもんメンタルトレーニングのトレーナー養成講座を受講した直後に相談がきたんです
藤代 どんな相談?
平出 「一生懸命に頑張って勉強していて、自分でも実力がついていることは実感しているんだけれど、模擬テストで結果が出せないのは何でだろう」と相談されました。
藤代 当時は、何年生だっけ?
平出 当時は、高校3年生。大学受験のための模擬試験が年に最低5回あって、最後の模擬試験の直前だったんです。そこで「普段は、どんな気持ちで模擬試験を受けてるの?」って聞くと、「そりゃ、気合いをいれているよ」と答えたんです。「そうだよね、いい点数をとりたいから気合いはいれるよね。その結果はどう?」って聞くと、「あまり良くない、あれ、おかしいな…」って言うんです。
藤代 あまり、思った通りじゃないと。
平出 彼は、模擬試験の問題を必ず持って帰ってきて、もう1回解くんです。
藤代 お~すごいね。
平出 その後に「結果はどう?」って聞くと「すごくいい!」って答えるんです。
藤代 家でやるときの方が良いんだね。
平出 学校でも1回問題を解いているから、ということもあるかもしれないけれど、それにしても家でやった方が凄くいい、と。「その違いは何だろうね?」と話していたときに「試験をどんな気持ちで受けるか?」という問いが生まれたんです。「試験会場のときは気合いをいれていく。家のときは ”こんなもんか”という気持ちで受けてる」と。そこで「どっちがいい?」と聞くと「家でリラックスしているときの方がいいかな」と答えるんです。なので「試験会場でもリラックスした気持ちでやってみたら?模擬テストも本番じゃないし」と伝えたら「そっか!」と何かに気づいたみたいでした。何に気づいたかわかないですけど(笑)すると、それまでは7割の点数をとれれば良い方だったんですけど「全国1位」になったんです。
藤代 えっ!!ちょっと待って!!急に飛躍して!!よくわかんなかった!(笑)
平出 そうだよね(笑)しかも満点だったんですよ。
藤代 模擬試験で7割とれればよかったのが、「どんな気持ちで受けたいかな?」と自分の状態と向き合って、次の模擬試験を受けてきたら満点だったってこと!?
平出 そう!!
藤代 すごい!!満点ってとれるんだね(笑)
平出 私もびっくりしました。30万人受けている中で1番上にたてたんです。
藤代 30万人の中の1位!!すごいね!!その時の彼の表情はどうだった?
平出 にやついてましたね(笑)
藤代 そりゃ、にやつくよね(笑)
平出 彼は、問題用紙に答えを控えておいて、家で答え合わせをするんですけど、全部が○だから本人もびっくりしちゃって。「もしかしたら、満点かもしれない」と言っていましたが、結果を見たら本当に満点だったんです。
藤代 すごいね。
平出 本番ではどうしても緊張して残念な結果にはなったんですけどね。でも、気持ちの持ち方は継続しているのと、切り替えの仕方を自分で考えるようになりましたね。
藤代 そうした時間は、子どもと定期的に作っているの?それとも、子どもから相談があった時に話すようにしているの?
平出 子どもから聞かれたときかな。一緒に、テレビをみている時に「将来どうなってたい?」とか投げかけることもあります。
藤代 聞くぞ!って感じではなく、雑談っぽく聞くんだ?
平出 そうそう。「どうなってたい?」って聞くと「色々ある~」って答えるんです。「なるほどね」って話しを全部聞いて後に「どうしてそう思うの?」と彼の思いを聞きながら、わからないことは一緒に調べたりして。
藤代 それは、子どもも嬉しいだろうね。
平出 彼が目標にしていることが、私も全く知らない世界なので、否定することも出来ないし、「むずかしいよ」と言える立場でもないので「いいんじゃない」って支えるしかないですね。
私だからこそ、届けられるところに届けたい

藤代 今後は、どんなことをしていきたいですか?
平出 「しつもんを通して人は変われる」ってことを伝えていきたいですね。私は美容業なので、この業界で何ができるかな?って考えています。起業家さんや、これから起業を目指している方にも届けられたらいいなと感じています。美容学生さんが就職先で楽しく成長するためにどうしたらいいのかということや、企業側もどうしたらいいかとか。どっちも受け身じゃダメだし、どっちも攻撃的でもダメ。どちらもフォローが必要なので、双方にお伝えしたいですね。あとは、美容学校の先生にも伝えていきたい。技術を教えるだけではなく、私たちは接客業なので、お客様とのコミュニケーションや、お客様を「おもいやる心」が1番なので、このような学びの場を提供してほしいってことは伝えていきたいですね。
藤代 いいですね。僕自身は、美容業界とは遠いところにいるので、届けられる人が届けることがいいなと思っていて。成功体験だけではなく、失敗体験とかも伝えられる人がいるからこそ伝わると思うんだよね。
平出 しつもん力を磨かないととですね!!
藤代 楽しみながら磨いてください!! ありがとうございました。