「問いかけで子どもが変わることをもっと広げたい」永田 厚さんインタビュー

永田 厚さん(サッカーコーチ)
NPO法人スポーツコミュニティ磐田・ポーラスター理事・事務局長。
1970年浜松市生まれ、磐田市育ち。「スポーツは遊び」と捉え、楽しく、遊び心満載の子ども達の育成を実践している。 ▶facebookはこちら

 

コーチ歴30年で辿り着いた「力を抜いて、楽しむ」の意味

藤代:普段はどんな活動をしていますか?

永田:サッカーコーチなので、サッカーとフットサルの指導をしています。

藤代:長いですよね?

永田:もう長いですね。25年!

藤代:凄い!25年!

永田:この地区でもう25年。大学でも少しお手伝いしたことがあるので、それもいれると30年かな。

藤代:すごいなぁ。いまの指導対象は?

永田:指導は幼稚園児~中学生まで。社会人チームもあるのですが、そこはOBがたくさん入ってきているので、今はその子たちに任せています。選手兼監督でメンバーに入っているけど、ほとんど顔は出せていない状態ですね。

藤代:地域の子どもたちがメインですか?

永田:そうですね。地域の子どもたちがメインです。

藤代:磐田市内の子どもたちを指導しているということですね。

永田:そうですね。

藤代:もともと「しつもんメンタルトレーニング」を知ってくれたきっかけは何ですか?

永田:何年か前に、横浜で、フットボールユニオンの岩谷さんのお話を聞きにいった時です。懇親会に出席したら隣にフジシーがいて、もの凄く印象に残って。

藤代:そこだったか!!

永田:どこかに出かけて講習・講義を受けることはあんまり多くないのですが、そこに行ったところ、岩谷さんのお話も「ふむふむ」と勉強になりました。その場にいた方々とは今でも何かしら繋がりがあります。その時たまたま懇親会で近くだったのがフジシー。どうも!と挨拶をして、名刺を見たら「しつもんメンタルトレーニング」と書いてあって、「なんだそれ!?」と。なんなんだこの人!と思いました(笑)

藤代:そこだったっけ(笑)

永田:そうそう。話を聞いて、「ほ~~う」と。サッカーつながりの池上正さんがしている「問いかける」指導だったり、畑喜美夫先生の「ボトムアップ」を取り入れて子どもたちだけでやっていくというのが既に動き出している頃だったので、そこで「しつもんメンタルトレーニング」と聞いてびっくりしました。その時はびっくりした程度で、その後に浜松で他の団体が呼んでいましたよね。浜松に来るんだったら、ちょっと受けてみようと思ったのが最初です。

藤代:その時の最初の印象って覚えていますか?

永田:その時は、「こんなやり方もあるんだ」と。色々セミナーや指導者の講習会には出ているし、キッズリーダーインストラクターという指導者養成のインストラクター資格も持っています。なので、知らない人と何かしたりというのはできていたんだけど、インスタラクターというと、「講師はどんなことするんだろう」という興味もあって、そういう目線で見ていても、本当にのめりこみました。「楽しくやっていくだけで、色々考えさせられることができるんだ」と思いました。

藤代:「講師、あんまり何もしてなかったな」って?(笑)

永田:そこも凄いんだろうなと思います。「自分もラクしたい、楽しみたい」というのもやっぱりあるので、これは使えるんじゃないかなと。やってみて、自分はクラブも運営しているので、自分のチームの指導者や保護者には受けてほしいと2回来てもらいましたよね。

藤代:けっこう懐かしい話になってきましたね。

永田:懐かしい話だよね。

藤代:今の話を聞いて、僕は”力を抜く”ということが重要だと思っています。「ラクをして」と違う表現で言ってましたけど、同じことだと思っているんです。指導者の方はやることがたくさんあるじゃないですか。考えだしたら本当にキリがなくて、神経をずっと張っていないといけない状況をつくりだしてしまう。そうすると、どっと疲れますよね。もちろんそれもそれで素晴らしい事なんだけど、なかなか続かないなと。毎日それをやれと言われたらなかなかできない。

僕も「楽をする」「力を抜く」ことがどういうことかを考えたときに、当たり前にやらなきゃいけないと思っていたことが、実はそうではなかったんです。例えば講師だったら、2時間あったら2時間全て話さなければいけない、全てを伝えなくてはいけないといった思い込みがあった。それを手放して、みんなに話してもらったりゲームをしてもらったりしたら、そっちのほうが喜んでもらえた(笑)。でもこれって、サッカーの指導でもありませんか?

永田:うんうん、たしかに。子どもがやりたいと言ったらそれをやって、どんどん進めていく。当然「ゲームをやりたい」という意見が多いので、「じゃゲームやるかっ!」と言ってやってしまう。でも、実はそういう時が一番ゲームの内容が良かったりもするし。

藤代:たしかに。

永田:傍からすると、「コーチは何もしてない」って言われちゃうんだけどね(笑)

藤代:そうそう(笑)そこの誤解は解いていかないとね。でも、何も言わない間に子どもたちが成長していくって凄くないですか?

永田:そう!凄いと思うし、それが一番必要なんじゃないかと思います。

藤代:そうですよね。その子たちは僕たちがいなくても成長できるということですから、実は凄いこと!もちろん教えてあげなきゃいけないこともたくさんありますけどね。

 

「楽しい」は子どもによって違う

藤代:子どもたちと関わっていて、印象に残っていることは何かありますか?

永田:最近サッカーとは別に「運動遊び」を取り入れています。幼稚園や保育園で行うのですが、既存のマット運動や鉄棒、跳び箱といったよくある体育指導ではない遊びがあるんです。例えばコーンを使った場合、子どもが好きな「小人さん」という比喩表現をして、「小人さんを探しに行こう!」と言ってスタートします。小人になった世界を想像し、小人さんと遊びながら体を動かしていくんです。「リーベ式運動遊び」といって京都で行っていたものを取り入れて、自分ともう一人若手コーチが専属でやっています。その中で感じたのは、我々のクラブに近いなということです。

どちらも「大人が楽しいと子どもは楽しい」というスタンスがあって、我々指導者も楽しもう!という考えがある。「楽しいも人それぞれあるよね」というところがすごく共感できるんです。例えば、自分がしているサッカースクールの世界だと、サッカーやフットサルをやりたいという子が集まるので、何もしないという子はそんなにいない。苦手なことがあってもある程度のことはみんなでやります。幼稚園や保育園だと、どうしても最初なかなか入りづらそうにする子もいる。色々な子が集まっていますからね。「嫌です」と言って逃げちゃう子とか、離れて見ているだけの子もいる。そういう子たちには先生が付いていてくれるのですが、みんながしていることを笑って見ているんですよ。

藤代:へぇ~そうなんだっ!

永田:こちらとしては体を動かすことを楽しんでほしいのですが、子どもとしては、体を動かすことが楽しいと思えなくても、お友達や人がしていることを見て、跳んだり跳べなかったり、ジャンプが高かったり低かったり、それを楽しそうに笑いながら見ている。そういう子どもたちの様子を見て、「ああ、楽しいって人それぞれなんだな」とすごく実感したことがあったんです。「やらないから楽しくないんじゃないんだなあ」って。

藤代:たしかに!それなのに、ついついねっ、、、

永田:そう。大人は引っ張ってきちゃったりする。「これは楽しいんだよ」「やったら楽しいよ」とついつい引っ張ってきちゃうけれど、見てるだけでも楽しい子はいる。ずっと入って来ない子もいるんだけど、何回かやって本当に「じゃ、やってみよう」となったら入ってくる子もいる。

藤代:たしかに。それで思い出したのだけど、僕もサッカースクールをやっていた時に、20人ぐらいいるクラスで、一人の子だけいつも一緒にやってくれない子がいたんです。お母さんには「少し知的の発達が遅れているから、一緒にやるのは難しい」みたいな事を言われていたのに、最初は「一緒にやろうよ、一緒にやろうよ」と言っていた。言い続けていたけれど、絶対にやってくれないのね(笑)。その子はゴール前で寝そべったりしてるわけ。だんだんとイライラしてくるわけじゃないですか、「なんだあいつは」と(笑)

でも、一回それを止めて、コーチは2人いたから、僕はその子の専属になって一緒に遊ぶことをしようと。その子が遊んでいることをひたすら真似してたんですよね。ゴール前に寝転がったら僕も寝転がるし、石で遊んだら石で遊ぶし。それをやってたら、ある日勝手にサッカーしだすようになったんですよね。

これって面白いなと思って。僕たちが大切にしている”コントロールしない”という考え方にも通じるんだけど、こちらから変えてやろうとすると拒否されちゃうけれど、心を開いて、「君を変えようとは思ってないよ」という姿勢が伝わったら、なぜか期待していることに取り組んでくれる。今の話を聞いていて凄く感じました。楽しいとか好きというのは人それぞれなんだけど、僕たち大人の感じる「楽しい」についつい引っ張ってきたくなっちゃう。それはあるかもなぁ~。他に印象に残ってることはありますか?

永田:その絡みと同じようなことなんだけど、サッカースクールで、幼稚園の頃は試合の時も端っこにいって砂いじりをしているような子がいました。ずっと続けててくれて、今はもう中学2年生。この間、中学生の試合を見に行ったんだけど、ベンチにいて、試合にはでてなかったんですが。

その子が6年生くらいの時に、幼稚園の時代の自分の行動を覚えていて、「いや~、俺サッカーやってなかったよね、コーチ」と突然言い出した(笑)「俺、砂いじりしてたよね」と。覚えてるんだって思いました(笑)自分はその頃から「砂いじりも、それはそれで楽しいんだろう」と思っていた。だからこそ、ずっと続けていてくれていたと思うんだけど、本人もそれをわかっていて。小学校6年生なので、もの凄く感謝していますとかそういう言葉はなかったけれど、覚えてるんだなと。自分がそこまでサッカーしていることに彼自身がびっくりしているというか。「なんで俺続けているのかな」って言うくらい。お母さんとも話をしましたが、「やっぱり凄く好きで、ボールを蹴りにいく。遊びにいくのは凄いしてました」と言うので、覚えてるんだなぁと思ったんです。

 

「声が出ないのは、集中しているから」

藤代:たしかに。静岡県の中でも磐田はサッカーどころ。サッカーもそうですが、ラグビーも盛んですよね。その中において、「サッカーを好きでいてほしい」という気持ちは強いと思うのですが、それは何かきっかけがあったんですか?

永田:もともとわりと、そういう考えは強かった。自分たちの時代は、「THE・昭和」。大学行った時に平成になった人間だから、練習中は水も飲んでないし、なんだかわからないけど、「理不尽に走らされたなぁ」と。自分がそのような経験をしていて、大学2年の、20歳くらいの時かな、大学の先輩に誘われて、「飯おごってあげるから、スポーツ少年団の指導を付き合ってくれ」と言われた。それに行った時に、けっこう面白くてね。その時もう既に、「一緒に遊べばいいや」と思っていたし、それで子どもたちも寄ってきてくれた。大学が千葉県だったんだけど、その時はまだまだ千葉のサッカーは今より盛んでもなくて、本当に蹴って走るだけ。その先輩も、「お前静岡だから上手いんだろ」と言って何も見てないのに来いって(笑)「静岡だから技術教えてくれ」っていうんですよ。いやっ、静岡だからうまいわけじゃ…(笑)静岡県出身というだけですよって言ったんだけど、わかってもらえなくて(笑)

藤代:ははは!!

永田:もともと、静学(*1)とかが好きで、「技術があれば楽しいよね」という思いがあった。僕自身、技術をあまり持っているほうでもないと思っていたから、それを子どもたちに少しでもわかってもらえたらなというのが最初だった。大学生の時はサポートだったのでゆるくやっていましたけれど、磐田に帰ってきてから、担当学年を持つようになった。どうでもいいとは言わないんだけど、心の中では、「結果なんてどうでもいいよ。どうでもいいと思いながら楽しめればいいかな」と思って。さすがに若い頃は、「勝ちたい」「勝たせたい」というところがあったけどね。きっかけというきっかけは特に無いんだけど、自分が怒鳴り散らした時があって、それで結局は変わらなかったから。

*1 静学 静岡学園中学校・高等学校

藤代:あーなるほどね。

永田:そう。変わんないよねやっぱりって(笑) 自分が言われてても変わらなかったから。

藤代:あっ、そうだったんだ!(笑)

永田:凄い怒鳴られたり、殴られたりしたけれど、「変わるわけないじゃん」とコートの中で思ってた。よく言われたのが、「声出せっ!」って言われたのね。声が出ないと自分でもわかってた。声が出ない時は、自分が集中している時だっていうこともわかってた。

藤代:あー、集中していると!

永田:そう。集中しているのに声出せるわけない。「なんでこの人怒ってるんだろう」と正直思ってた。それはずっと思っていて、そしたら野球の桑田真澄さんが、キャッチボールの時に声を出す少年野球チームに、

「ちょっとストップね。みんな針に糸を通す時に、『ありゃ』とか『おーい』とかって言う?言わないよね?どうやってやる?」
「ちゃんと穴を見て通します!」
「そうだよね!だからちゃんとあのグローブを見て、黙って集中してやってみれば」

と言っていたんです。それで、選手たちが黙ってやったら、パンパン凄くいいところにいくというのを何かで見た。「桑田真澄、すげっーー!」と。

藤代:さすがですね。プロフェッショナルですね!

永田:ほんとプロフェッショナル!そのような事も聞いて、「あーなるほど、そうだよね」と。もともとがだから、「そんな事しても出来ないんだけど」というような言い分はありつつ、理不尽なことをしてきたんだけど、その理不尽なことで何かを得たことがない。よくあるじゃない、「あれがあったからこそ今の俺がある、あの辛さがあったから」って。でも、辛かっただけで、別にあの辛さがあってもなくても、俺こうなってるよねというのはもともとなぜかあったかな。子どもの頃もよく先生に「変わってる子」と表現されたしね。

藤代:打っても響かないというか(笑)

永田:たぶんそうだったと思う(笑)

藤代:怒っても怒ってもへこたれないし、気にもしてない(笑)

永田:気にもしてない(笑)それ、俺は悪くないしってどこかでちゃんと思ってて。

藤代:面白い!そのような経験があったから、自分が変わらなかったんだから、変えようと思っても、それは変わらないよねと思えたんだ。

永田:よくよく考えたらそう。自分も変わんないよねと。

 

「問いかけで子どもたちが自発的に動き始めることをもっと広めたい」

藤代:面白いな。今後はどんな活動をしていきたいですか?

永田:立場的に、指導者育成や地区の技術委員長みたいなことになっているので。

藤代:凄いじゃないですか。

永田:そうなると、どうしても気になってしまうのが大人の指導者。大人の子どもに対する声掛けや接し方が凄く気になってしまって。むしろ、そこを変えようとしているなという気持ちが凄くある。変えようと思わなくてもいいのかなとも思っているけれど、でも世の中は変わってほしいなという気持ちもある。だから、しつもんメンタルトレーニングの講座を開いたり、色んなところで依頼があればそれを受けてやっている。そこはもっともっとやりたいところかな。子どもの心にアプローチする。ブログにも書いたことがあるんだけど、「最後は気持ちだろう」と言う人がいるけれど、「気持ちは最初に持ってくるもの」と思うけどね。

藤代:なるほどね!

永田:よく言わない?最後は気持ちだっーーー!って言いながら負けてるゲーム(笑)

藤代:言う言う!!(笑)

永田:気持ちを最初に持ってこないと。だから負けてるし、だから技術が、、、。

藤代:たしかに。そう言われてみたら。

永田:最初に気持ちを整えてスタートしていれば、もしかしたら問題が起こらなかっただろうし、問題が起きて失点したとしても立て直せる。最後じゃないよね。そういうところはもう少し広めていきたいなと。要は、しつもんメンタルトレーニングは常にやっていくことで、それを試合の時にだけやってもしょうがないわけだしね。

藤代:たしかに。全国大会の前だけ呼んでいただくということはたまにあります。もちろん力になりたいから僕も全力は出します。でも、やっぱり定期的にしたいですよね。色んなことがそうで、歯磨きも今日だけやって綺麗になるのかという話で、なかなか難しいですよね。

永田:そうだよね。短期間での依頼もあると思うんだ。そのような時はどうしてる?そこが聞きたい。

藤代:なるほど。基本的に流れはいつもと同じで、行く前と行った時に、「終わったときにどうなっていたら最高ですか?」と主催してくださっている方に聞くんですよ。その人が言っている言葉に耳を傾けて、それを実現できるように少し構成を変えたり、言葉を選んだりします。例えば、いつもは大一番になると緊張してしまって力を発揮できないということだったら、それについての時間を多く作る。そこらへんは臨機応変にやりますね。

永田:というのはね、今度7月25日~28日に、U12の磐田国際サッカー大会というのがあって、実は去年もその監督をやっていて優勝させているんですよ。

藤代:すばらしい!!

永田:静岡県の西部・中部・東部と、分けた西部地区という、浜松・磐田・掛川くらいのところの選手を集めた選抜チーム。大会が4日間あって、その前に2日間トレーニングマッチをして優勝。でもこれ、実は本当に準備をした。1つは技術委員長をやっていて、「お前一つも結果出してないよな」と言われてカチンときたのもあるんだけど。

藤代:じゃあ結果を出してやるぞと(笑)

永田:そう。「出せないわけじゃないんだけどな」「あなたの思う『結果』と俺の思う『結果』は違うけどな」とも思いながら。まぁでも、確かにとそれも思っていて。

でもその時、最初の段階で、「あっ、これ優勝するかも」と思っちゃった。そのときやったのが、しつもんメンタルのあの10カ条やワークで伝えるものも頭に入れながら進めていったんだよね。最終的に俺が一番嬉しかったことが、色んな人が決勝戦を見て、「雰囲気良かったもんね」と言ってくれたこと。

藤代:へ~、チームの雰囲気!それは、意識して作ったんですか?

永田:そこはね、雰囲気作りだけしかできないだろうと思ったから、まず選抜チームのメリット・デメリットを書きだしたりした。メリットは、絶対に選抜チームのほうが技術はある。デメリットとしては、短期間で選手の特徴を見極めるのが難しいことと、練習がそんなに出来ないから底上げをすることができない。コミュニケーションも不足しているだろうと思った。コミュニケーション力を上げるためだけに、一生懸命やった。まずは、自分を信用してもらえないとどうしようもないから、とりあえず「この人は怪しい人ではない!」と思ってほしかった。う~ん、怪しいというかなんというかね。普段のチームでは、怒鳴られたりしている子もいると思うんだよね、きっとね。いつもと違うから違和感があるのかなぁとも思っていたんだけど、「この人はチームの指導者と違うな」と思ってほしくて、わざと握手で始めていった。初めて会った時に握手をして、「いつもやっているポジションと、好きなポジションはあるの?」と2つだけ聞いて。しつもんを皆で一斉にするよりも、個別にしながら。でもこのやり方、意外に短期間で効果があって。それこそしつもんメンタルは「直ぐに結果を出したい人には不向きです」というのがあったからどうなんだろうと思いながら。

藤代:とりはずそう!(笑)

永田:手法だけやっていたら、もしかすると短期だと結果が出ないかもしれないなと思いながら。

藤代:たしかにそうですね。

永田:「信じて待つ」「相手をコントロールしない」といった本質にあるところを大切にした。「逃げ道を作る」も作ったし、「別にクリアしても構わない、自分で無理だと思ったら外逃げてもいいから」とそんな事も言っていた。そしたら他のコーチが「大丈夫ですか。そんな事言っているコーチ初めて聞きました」って。しょうがないじゃん!だって相手強いんだもん!相手が強いだろうなということも、「恐らく強いよ」ってちゃんと子どもたちに言ったしね。

藤代:えっ。国際大会ということは、海外のチームも来るということですか?

永田:海外のチームとJの下部組織。

藤代:おー!凄いじゃないですか。

永田:タイのブリーラムユナイテッドF.C.というところは一番強かった。韓国は全国大会でトップのテドン小学校というところと、中国は浙江緑城。外はアジアの3つだけで、後はJリーグの下部組織。

*参考:https://www.jubilo-iwata.co.jp/u12-juniorsoccer2018/

藤代:他のチームは前から積み上げてきたものがあるわけですよね。

永田:そうそう。

藤代:そこで選抜チームで戦う。なかなか難しいよね。

永田:なかなか難しかったね。でも、すごい楽しかった。その大会はジュビロとかJリーグがスポンサーをしてくれていて、会場にも水や氷をかなり用意してくれていた。チーム運営をしていると、水を用意したり、全員分の氷が足りるように用意したりとか、そういう部分を監督としてやらなくて済んだから、監督業にあんなに専念してできたのが初めてだった。「プロの監督はこういうことなんだ」って(笑)。ただ、1試合目は凄く気を使った。凄く押されて始まった試合だったから、頭使いすぎて、少し頭が疲れちゃたけどね。

藤代:糖分とりながらやらないと(笑)

永田:こんな疲れる監督、初めてやったくらいの感じ!(笑)

藤代:いいな。なるほどな。話を聞いていて、僕も男子アイスホッケーの代表チームに関わらさせて頂いていますけれど、結局はやっぱりコミニケーションなんですよね。お互いを知って、お互いの良い所を引き出せる関係性を作れるかどうか。あと、ついついチーム内でライバル意識が強すぎてしまって、すれ違ってしまうことがあるじゃないですか。そういうときはお互いに足を引っ張っていて、とてももったいない状況。だからそれをどうやってなくしていくか。「みんなで目標を達成しようよ。その目標の先に、みんなそれぞれの夢や目的があるから。まずせっかく集まったんだから、みんなで目標を達成しようよ」という風にどれだけ近づけることができるかというのは考えますね。

それにしても凄いな。ぜひみんなにも教えたい。今年もそれがまたあるんですね。

永田:今年もあります。選抜チームなので、コロコロ監督が変わるんだけど、平日も絡んでいて、なかなか一般に仕事している人は難しくて。「やる人がいないんですけど、どうですか」と言われたから、「2連覇できるのは俺しかいないからやるわ」って(笑)。子どもは変わるので2連覇じゃないからね(笑)

藤代:そうですね。たしかに。面白い!(笑)

永田:これをやった後に、それに参加していたコーチや保護者の方と会う機会もありました。自分が当たり前だと思っていたこのやり方も、当たり前ではなかったようで。選手全員を使うことや、全試合全選手出場も当たり前だと思っていたし、別に怒鳴ってああだこうだ動かさなくても、何かヒントになる言葉を言っておけば動くと思っていた。でもそれはやっぱりあまり理解されていなくて、そうなんだ…という気持ちがあった。今回引き受けたのも、もうちょっとそれを広げたほうがいいなと。他の人に広めるにも、試合を全部youtubeにも撮るし、それも引き受けてみるかというのもあって。

だから、もうちょっと広めたい。自分が当たり前だと思ってやってきたことは、「まだまだ当たり前じゃないぞ」と思って。

藤代:結果も出ましたしね。

永田:結果が出ないと、誰も何もやってくれないんでね。自分のチームだとなかなか結果が出ないので、そこは良くないんだろうけれど。

でも、この、「問いかけで子どもたちが自発的にやるんだ」ということを、もっともっと広めたい。

藤代:いいですね。では、インタビューはここまでにします。ありがとうございました。

永田:ありがとうございました!