丸山りかさん
長野県に住む兼業主婦。一人息子はサッカーを小学校〜中学校と続けている。闘争心がない息子をどうしたらいいかと悩みに悩み、しつもんメンタルトレーニングを個人的に受講し、少しずつ変わる息子を目の当たりに。「しつもん」に興味を持ち、しつもんメンタルトレーニングトレーナー・0期を受講した。今は一人の人として息子の成長を見守りつつ、自分の時間を楽しんでいる。
子育てにおいても、負けたくない自分がいた
藤代 もともとしつもんメンタルトレーニングを知ったきっかけは何でしたか?
丸山 藤代さんを知ったきっかけはサカイクさんのホームページ(https://www.sakaiku.jp/)でした。
藤代 おー。当時はどんなことで悩んだりしてたんですか?
丸山 子どもが自分から「サッカーをやりたい」と言ったわりには練習しなかったり、、、。いま振り返れば当然のことだったんですけれど、当時はそこに問題意識を持っていましたね。
藤代 うんうん。
丸山 後から入団した子のほうが「サッカーが好き」という気持ちが強くて、どんどん上手くなっていく。そのことにちょっと私自身が焦っていたというか。もっと練習すればいいのにな、もっと上手くなればいいのにな、なんでだろうと不安になっていました。そこからしつもんメンタルトレーニングに興味を持つようになったんです。
藤代 「他の子がどんどん上手くなっていくのに、うちの子は全然できてないじゃん!」とりかさんが焦ったの?
丸山 はい。私自身が焦ってましたね、なぜか。
藤代 今思うとなぜだと思う?なぜ焦っちゃったと思う?
丸山 今思うと…なぜ焦ったのか、あの、レギュラーになって欲しかったというのもありますし。
藤代 うん、うん。
丸山 自分の理想を息子に追い求め過ぎてました。
「こういうふうになってほしい」という、親は誰でもそういう理想があると思うんですけれど、それを強く持ちすぎていたかも。何て言うんですかね、過度に息子に対して持っていました。期待じゃないですけど、言い方は変かもしれないですが、「自分の理想とする子を作っていく」というか。こうなってほしいこうなってほしいという希望やそういう部分が強過ぎたのかなと。
藤代 なるほど。
丸山 押し付け過ぎたのがあります(笑)。今思うと。
藤代 強く思ったというけれど、どこからそういう期待は来ていたと思う?
丸山 私自身がちょっと負けず嫌いな性格で。そういう気持ちがすごいあるんですよね。そこが一番。
藤代 なるほど。自分はこれまでまわりに負けないようにやってきていた。
丸山 そうですね。そういうふうにやってきたつもりでいて、周りの保護者の人たちにも負けたくないというのが自分の中にもちょっとあって。
藤代 2つあったんだ。子どもを介してお母さんや保護者にも負けたくない自分と、負けず嫌いな自分の子なのに平気な顔をしている子どもにイライラしていた自分と。
丸山 イライラというか、「どうしてもっとガツガツいかないんだろう」と(笑)。そういうところですかね。
藤代 そうか。お子さん自身はそういうタイプではなかったんだ。
丸山 (笑)
藤代 へー。サカイクでしつもんメンタルを知って、それを読んでメールをくれたの?
丸山 はい!
藤代 ずごいですよね!あれはどういう流れでしたっけ?
子どもは答えを認めてもらえると、どんどん自分が出てくる
長野での思い出の1枚
丸山 あれは、確か私が「息子が何か変わるきっかけになるんじゃないか」と思って、その焦りというのももちろんあったんですけど、それで藤代さんの事務局かどこかにメールをしたんですね。それでたまたま藤代さんが良いタイミングで長野県に来られるという話を聞いて、それで森さんのお宅にっていう形で、家族で。
藤代 思い出した、長野県に行くというのは別にプライベートだったんだ。
丸山 ですよね。タイミング的にもラッキーだったと思うんですが(笑)
藤代 熱心なメールを頂いたから、プライベート先で伺ったお家にも相談して。お会いしたいと言ってる方がいるんですけどって相談したんだよね。
丸山 本当に有り難かったです(笑)。
藤代 そうかそうか。それで彼に変化はありました?
丸山 やっぱり私の押し付けとか、私が「こうしなさいああしなさい」というふうに言ってることが多かったんですよね。なので、本人から自分の考えを聞くことがあまりなかったんですね。
藤代 ちょっとずつ思い出してきた。最初はしつもんに答えるときはチラチラりかさんを見てたよね。
丸山 そう、私の顔をずっと見てたんです。私の顔色を伺って、ずっと、「いいの?いいの?」って書いていましたね(笑)。思い出しました。藤代さんがしつもんしてくれたことに対して「何でもいいんだよ」と。そういうふうに書いてって。でも、その時は私も息子のこたえを認めるっていうのはまだなかなかできなくて、心の中で「えっ、そんなこと書いて大丈夫?」とか思ったんですけど。でもやっぱり、認めてもらえるとどんどん自分が出てきますよね。びっくりしました。
藤代 その時印象に残ってることはありますか?
丸山 その時印象に残ってること…。さっきも言いましたが、それまで何も自分の考えを言わない息子が、サッカーのことに対して「もっと練習しなきゃ」と思っていたと知って、「ああ、自分なりに考えていたんだな」とびっくりしましたね。
藤代 うんうん。
丸山 もしかしたら私の顔色をうかがってそう書いたのかもしれないですけれど、でも、そう考えているんだなと。
あと、それよりもびっくりしたのが、終わったあとなんです。あのとき、藤代さんと森さんのお子さんたちと外でサッカーやってくる!って。その時までは、自分からサッカーやってくるなんて言ったことがなかったのでびっくりしましたね。
藤代 へー。
丸山 はい!
藤代 そんな感じだったんだ。
丸山 そうですそうです。自分から「みんなでサッカーやってくるね」なんてなかったので。
藤代 初めて会ったのに、だもんね。
丸山 初めて会ったのに「みんなで楽しくサッカーやってきたよ」って言って。
藤代 そっかそっか。
丸山 その時はとてもびっくりしましたね。
藤代 それでちょっとずつ変わって、インストラクター養成講座を受講してくれたという感じだったの?
丸山 そうですね。
「自分を満たす」ことの大切さ
藤代 自分自身の変化はどうですか?
丸山 自分自身、、、。息子に対しては「息子が自分(親)の思うようになっていってくれたら」というふうに思っていました。どの親でもそういうふうに思うことがあると思いますが、私もそうでした。それが、「この子はどんなことがしたいのかな」と。自分がではなく、息子がどうしていったらいいのか、どうしたいのかと。そういうことを話したり、考えられたりできるようになりましたね。「周りがこうだからうちもこうしなきゃいけない」ではなく、「うちの子はどうしたいんだろうか」と。なんていうのかな、もう、周りのことをあまり気にしなくなりましたし、周りと比べることが少なくなってきましたね。
藤代 それってすごいことですよね?
丸山 そうですね。あとメンタルトレーナーの最初の0期講習会に参加させて頂いた時に、藤代さんから「まず自分が満たされないと」という話をしていただいたのですが、覚えてますか?
藤代 何度も言っているので(笑)。
丸山 その時、私、涙が出そうになってしまって。自分に余裕がないと、家族にもきつく言ったりしてしまうことがあって。なんて言うんでしょう、その時まではもう息子息子とばかり考えていたことが、「まずは自分を大事にして、そこからだ」ということもできるようになった。そこから少し気持ち的に余裕ができたのかなって。
藤代 そっか。
丸山 はい。
藤代 今までは子どもが期待通りに成長してることによってそれも嬉しいしそこに全てを注ぎ込んでた、と。
丸山 そうですね、もう息子が負けないように。
藤代 そうすると、他の刺激が沢山ある中で、ライバル心みたいなもの、ちょっと負けたくないみたいな、という思いが強くなってたということかな?過去は。
丸山 過去の私自身ですか?
藤代 そうそう。
丸山 そうですね、私自身はそんな感じでした。
藤代 自分を満たすことをちょっとずつ始めたら余裕が出てきて、自分がこうなってほしいというよりも彼はどうしたいかに興味を持てるようになってきたということなのかな?
丸山 そうですね、何回も葛藤はありました。すぐに変われることはないので、また前の状態に戻ってしまったりということはあったんです。でも、前に比べたら、「息子はどうしたいんだろう?」「本当の息子の気持ちはどうなんだろう?」と考えられるようになりましたし、本人に聞けるようにもなったかなと思います。
息子と一人の人として接することができるように
藤代 実際に自分で普段意識していることはありますか?
丸山 普段はまず、単純なことですが、あまり叱らずに話を聞ければなと思っています。常に息子の話を、「どう思うの?」と聞くようにしていますね。息子は今中学生で思春期の真っ只中なんですけれど、他の子に比べたら学校の様子も話してくれますし、中3の男の子にしては会話をして、いろいろ話してくれているのかなと。学校のこと、サッカーのこと、勉強のこと、、、いろいろ話してくれてると思います。
藤代 それって、さっきの話からすると自分が満たされた状態じゃないと話を聞けなくなるじゃないですか?
丸山 そうですね。
藤代 そのために意識してることはある?自分の状態を良くするために。
丸山 自分の時間を作るようにしています。
藤代 あー、なるほど。
丸山 はい。息子が小さかった頃は一緒にいる時間が多かったんですけど、今は自分の時間を持つようにしていますね。自分が楽しめるような、本もそうですし、ちょっと体を動かしたりだとか。自分からそういう時間を持つようにしていますし、家族の協力もあって持たせてもらえてますね。
藤代 ふーん。そうするとやっぱり違いますか?
丸山 違いますね。まあ疲れて怒る気にもなれないという時もたまにあるんですけど(笑)。それもありますし、自分もしっかり楽しんできたからっていうのもあります。なので、比較的昔と比べたら、本当に少し一歩おいてというか、自分の所有物という感じではなくて、息子を一人の人として少しずつ見れるようになってきましたね。
藤代 へー、いいじゃん。
丸山 そうですね。私の性格からよくそこまで変われたなと、本当に。
藤代 (笑)僕もスポーツやってきたからわかるけれど、スポーツをやってきたお母さんは同じような悩みを持つことが多いような感じがして。やっぱりこう、勝ち負けに対して貪欲な欲求があるから。
丸山 そうなんです。あの子には負けるな、と。本当に人と比べてたんでしょうね。あの子と比べてうちの子はできない。
藤代 あー。
丸山 今思うと、息子にも良いところがいっぱいあるし、息子にしかできないこともあるんですよね。なのに、その1個、特に運動ということに関してとても執着してしまったというか、、、。
同じ思いを抱えているお母さんに広めていきたい
藤代 なるほどね。今後は何かこんなことしていきたいとかありますか?
丸山 今後ですか?今はしつもんを使って息子といろいろ話をしたりしているんですけれど、これからは、身近なお母さんとかそういう方とちょっとやっていけたらいいのかなと。まだ自分に余裕がないので、長い目で見てですが(笑)。もう少し、自分の中で「これ!」というものができた時に、しつもんを広められたらなあと思っています。
藤代 いいですね。さっきも話したことと同じように、やっぱり僕だから伝えられる人もいるけれど、りかさんだから伝えられる人もいて、りかさんの話のほうがすんなり話が入ってくるという人もきっと沢山いるしそう思っています。僕たちしつもんメンタルトレーニングのインストラクターは、エピソードは各自で自由に伝えてもらって構わないし、そこに共感してくれる人絶対いる。今現時点で困っていて、過去にりかさんが感じたことと同じような苦しい思いをしている人はいる。そういう人たちに届けてもらえたらいいなと思います。
丸山 そうですね。同じ思いをしているお母さんにはぜひ伝えられたらと思っています。
藤代 (親として)しちゃいけないこととか、本当はしたくないって思ってるじゃない、頭では。
丸山 私もその一人です、未だに。
藤代 りかさんが経験した、過去の具体的な例を聞くことで共感して、私もそんな風に関わりたいなと思うと思うんだよね。頭ごなしにこうしたらだめですよって言われてもあんまり響かない。私も比較してて、すごく苦しくて、こうだったんだよねという話にはすごく共感して、それで変われたというところに光がある。
丸山 そうですね。
藤代 ぜひそんなふうに。
丸山 はい。ありがとうございます。
藤代 今日はありがとうございました。
丸山 ありがとうございました。