「指導者と保護者をつなぐ役割をつくりたい」小林由希子さんインタビュー

 

小林由希子(TSUNAGU Planning Factory)

長野県松本市生まれ。東京都港区在住。
出産後、子どものパーティーや親子イベントで披露したバルーンアートが大人気だったのをきっかけに、第二子出産後バルーンクリエーターとして活動開始。現在はTSUNAGU Planning Factory(https://tsuku2.jp/tsunagu-p-f)を主催、企業のパーティー、キッズデー、商業施設のディスプレーなどのバルーン装飾を手がける。私生活では、小4男子と小2女子のお母さん。野球少年の息子との関わりの中でしつもんメンタルトレーニングを知り、現在トレーナーとして活動中。

 

子どもが「スランプ」を抜け出せたきっかけ

 

 

藤代 今はどんな活動をしていますか?

小林 普段はバルーンクリエイターをしています。風船を使って、イベントやパーティーの装飾する仕事を、フリーランスでしています。

藤代 あとは、お母さん!

小林 そうそう!(笑)小学4年生と小学2年生のお母さんとして、毎日奮闘しています!

藤代 いいですね(笑) しつもんメンタルトレーニングは、どのようなきっかけで知ったの?

小林 小学1年で息子が野球をはじめて、応援するようになったことがきっかけで、藤代さんの本に出会いました。最初は、やってみたい!うまくなりたい!と好奇心がおおきく、どんどん伸びていきました。でも、やみくもにやって成長する時期が止まって、成長がゆるやかになってきたなと感じたところで、急に打てなくなっちゃったんですよ。どうしてもボールにバットが当たらないということがあったんです。それで、主人と自主練をしてフォームの改善などを試みるのですが、どうしても結果がでなくて、本人も焦りを感じはじめていたんですよね。その姿を見ていて、ちょっと苦しそうだな、楽しいそうではないなと私も感じるようになったんです。遊びの延長ではなくて、競技に入っていく瞬間というか。でもアドバイスしても、言い訳がはじまる。そのような姿に私もイラッとしていました。

いま思い返してみると、私たち親の期待が大きかったと感じています。早い段階から、ずっと試合に出させてもらっていたことも大きかったのかもしれません。私自身も小学校~大学までバレーボールをしていた経験があるので、口うるさくアドバイスをしていたんですよね。「こんな風にやったらいいんじゃない?」とか「考えて練習しなさい」と。

藤代 口だけじゃなくて、努力しなさいとっ!(笑)

小林 そうそう(笑)

藤代 そうしたら?

小林 子ども的には、それが自分を凄く否定されていると感じてしまったようなんです。

藤代 なるほどー。

小林 そう。ダメだしされている感じだったんだと思います。ある時、子どもに「お母さんなんて僕の言うこと何も聞いてくれない!」って言われてしまったことがあったんです。私はそれを聞いてキョトンとしてしまったんですよね。いやいや聞いてるでしょ。こんなにアドバイスしているじゃんって。

藤代 うんうん。子どものためを思ってね。

小林 よくよく考えると、かなり彼の言葉を遮ってたなと思います。彼の話しの途中で「でもさ〜」「それはさ〜」と口を挟み、彼の言葉に最後まで耳を傾けていなかったんですよね。

藤代 彼に対してアドバイスをしていたけれど、彼がどう考えているかは、聞いているつもりで聞いていなかったんだ?

小林 そうですね。聞いているつもりだったけど、聞けてなかったんですよね。彼が言いたいことがあるっていうことすら気づいてなかったかも(笑)。

藤代 なるほどねー。その後、しつもんメンタルトレーニングを学んで、実践してみて、印象に残っていることはある?

小林 ちょうど悩んでいるときに、藤代さんの本に出会ったんです。その本を通じて、私のアドバイスが、彼のやる気や考える力を奪っていたんだなということに気づいたんです。本の学びを活かそうと、ある時に、「どうしたら打てると思う?」と声をかけて、じっくり彼の話を聞こうと思ったんです。そうしたら彼の中から、たくさんアイデアがでてきたことに驚きました。

藤代 アイデアあったんだね!

小林 そうなんです。彼なりにきちんと考えていたんだなと。ただ、子どもなのでそれを伝えるのに時間がかかるだけだと分かりました。本当にたくさんのアイデアが返ってきてびっくりしたんですよ。そこから自然と会話が続くようになりました。彼もその後、すっきりしたのか、とっても楽しそうに野球に取り組むように変化したんです。

藤代 おー!

小林 藤代さんにはじめて会ったのが3月くらいで、翌月に春のリーグ戦がはじまったんです。私との会話が変わって、ちょうど1カ月経った4月22日に、彼がセンター超えのホームランを打ったんですよ。あれは忘れられないですね。

藤代 おーすごい!!

小林 まったく打てていなかったので、ヒットを打てれば充分だと思っていたんです。でも、まさかのホームラン!これが質問の効果なんだ!とすごく感じました。私のいままでの接し方がすこし間違っていたと打ちのめされた感じです(笑)

藤代 打ちのめしてはいないけどねっ(笑)

小林 でも気づけて良かったです、ほんとに。

藤代 彼はホームランを打った後はどんな表情してた?

小林 ドヤ顔ですねっ(笑)どうだっ!って感じで。

藤代 なるほど(笑)

小林 でも、びっくりしたみたいで、2塁くらいでいちど止まってましたね。

藤代 一生懸命走ってたのに、ホームランだったことに気づいたんだね!

小林 そうですそうです。そこから、トレーナー養成講座を受講しようと、決断したんです。

 

誰かの「やりたい」ではなく、自分の「やりたい」を大切にする

 

 

藤代 トレーナーとしてインストラクター養成講座を開催してみて気づいたことは何があった?いままでは、自分自身の実践だったよね。そこから、仲間を増やして一緒に届けていこうという視点の変化が生まれると思うんだけど、どうかな?

小林 当初はとても不安でしたね。日々、指導者として実践している方や知識や経験値が豊富な方がトレーナー講座にはたくさんいらして、私が何を伝えられるんだろうと感じました。最初の一歩をなかなか踏み出せずにいたんです。でも、養成講座の中で自信を高めることもできて、私もできそうだ、やってみたいと感じたんですよね。私にしか伝えられないこともきっとあるはずだと思ったんです。絞り出した感覚もあるんですが(笑)もちろん未熟だし、自信を持てない時もあるけど、子どもと一緒で、失敗を通じて学ぶこともあるんだ!と、とにかく動こう!という考え方にシフトチェンジすることができました。今までは自分が「したいこと」ではなく、誰かがやりたいこと、誰かがやらなきゃいけないことに合わせていたところがあるんです。でも、講座を開催していくうちに「自分がやりたいことをやろう」とシフトチェンジしていきました。

藤代 実際に講座を開いて、インストラクターの仲間になってくれた人の感想はどんな感じだった?試行錯誤して全力でやってみて、みんなの反応はどうだった?

小林 終わった後も、きちんと伝わったかなぁと不安な感覚はあったんです。でも、参加してくれたみんなにすごい変化があったんですよ。伝わっていたんだなと嬉しくなりました!

藤代 すごいね。人の行動が変わるってすごいことだよね。気づくことも、もちろん大切なんだけど、そこから行動に移すことはまたひとつハードルがある。行動を引き出せるってことは、凄く準備して取り組んでいるからだと思うんだよね。

 

全国の「仲間」がしつもんメンタルトレーニング最大の価値

 

 

小林 参加者の方に恵まれたという感覚もあります。

藤代 なるほどね。僕もなぜこのインタビューをしているかと言うと、至る所で、「この前、しつもんメンタルトレーナーの○○さんにお会いしました」という言葉と同時に、「みんな凄い素敵な人ですよね」って言うんです。僕自身も「ほんとにそうなんです!」って返すんですけど、ぼくたちの一番の良さは、コミュニティのみんな(仲間)だと思っているんです。なので、時間をみつけてみんなにインタビューをしようと思ったんだよね。ほんとに来てくれる人、みんな素敵な人ばっかりだよね。

小林 そうですよね。私だけでは伝えられないことがあったとしても、コミュニティの中には、より経験値の高い素敵な人たちがいる。この縁を通じて学んでいけるから、養成講座をやってみんなをこのコミュニティに入れることも私の役目の一つだと思っています。

藤代 なるほどね。紹介役としてね。全部自分が伝えようとすると大変だけど、力が抜けていいね。

小林 そうですね。そう考えるととてもハードルが低くなり、やってみようと思えるんです。

藤代 今後は、どんなことをしていきたいですか?

小林 最近は、色々とやりたいことが湧いてきているんです。自分の養成講座に参加してくれたインストラクターさんと一緒に活動する場所や機会を作りたいんです。それも目標のひとつですね。あとは、バルーンの活動もどんどんしていきたいんです。

藤代 おーいいねいいね!

小林 最初は、子どもたちに愛された記憶を作りたいと活動をはじめたんですよ。今は、企業さんからもお仕事をもらっていますが、もともとは子どもの誕生日会とか、小さなところからプロデュースさせてもらっていたんです。風船って写真映えするし、可愛いし、写真をいっぱい撮りたくなるじゃないですか。それを、成長して見返した時に、お祝いされた記憶や、愛されて育ったんだと、知ってもらえる機会をつくりたかったんです。

「いま」というよりは「未来」。子どもたちが大人になった姿にすごく興味があって、その時に自信をもって輝いてくれていたらいいなと思っています。しつもんメンタルトレーニングでも、そのように関わっていけたらいいな。関わった子どもたちが大人になった時にあのときしつもんメンタルトレーニングに出会えて良かったと言ってくれるような活動がしていきたいです。

藤代 なるほどね。記録に残すのはいいね。ワークブックをわざわざ製本している理由もそこで、記録に残したいからなんだよね。日々、僕たちの脳は忘れていくから、後で振り返れるものがあるといいね。

小林 小さい時の記憶って忘れてしまうものですよね。なくなりはしないけど、薄れていくから、それを見て思い出せる機会があるといいと感じています。

藤代 いいね。それはすごくいいね。さらにその活動も広めていきたいと。他にもあるの?

小林 あとは、子どもたちが自分で考えて行動したり、自分で課題を乗り越える力を育む大人が増えている世界を夢見ています。子どもたちが自分らしくいきいきと輝くために、まずは私たちお母さんが楽しく子育てが出来ていることがすごく重要だと思っています。ですので、保護者向けやお母さん向けの講座、スポーツをしている子どもをもつお母さん向けの講座などを開催できたらいいなと思っています。

藤代 それはぜひやってほしい。インストラクターに興味はないけれど、子育ての悩みを解消したい人はたくさんいるもんね。

 

指導者と保護者をつなぐ役割をつくりたい

 

 

小林 あとは、お母さんになってから見えてきた課題っていうのもたくさんあって、スポーツで言えば「指導者の人とどうやって関わっていったらいいか」とか「うちの子あんまり上手くいっていないんだけど、どうやったらやる気になってくれるかな?」とか、小さな悩みを共有できる場所が意外と少ないんです。

藤代 なるほど。いいねいいね。指導者目線でいくと、それをチーム内で話されるのを嫌うと思うんですよ。知らないところで結託されたくないから、禁止しちゃう。でも、第三者同士だったら気にならないよね。本当はもっとオープンにできたらいいのかもしれないけれど。後は、お母さん達も忙しいし、関わっている分、見返りを求めてしまう気持ちもわかるし、それをフラットな気持ちになれるといいよね。

小林 長期的な目標としては、色々なチームの指導者、選手、保護者がそれぞれの課題の共通認識を引き出すようなコーディネーター役を担っていけるトレーナーになっていけたらいいなって。夢は壮大なんです(笑)

藤代 いいですね。必要必要!スペインとかでは、コーディネーターの人が普通にいるんですよ。どうしても、保護者vs指導者といった構図ができがちだから、コーディネーターの人を通してコミュニケーションをする。お互いの課題や思っていること聞き出して、共通認識をつくるんです。

小林 なるほどなぁ。我が子のチームを見ていても、少しモヤッとするので(笑)

藤代 いいですね。ぜひやっていきましょう。では、インタビューはここまでかな。ありがとうございます!

小林 ありがとうございました!

 

 

ABOUTこの記事をかいた人

一般社団法人スポーツリレーションシップ協会代表理事。 しつもんメンタルトレーニング主宰。   「教える」のではなく「問いかける」ことでやる気を引き出し、 考える力を育む『しつもんメンタルトレーニング』を考案。 全国優勝チームなど様々なジャンルのメンタルコーチをつとめる。   著書に 「スポーツメンタルコーチに学ぶ『子どものやる気を引き出す7つのしつもん』(旬報社)" 「サッカー大好きな子どもが勉強も好きになる本」(G.B.)「惜しい子育て」(G.B.)「『しつもん』で夢中をつくる! 子どもの人生を変える好奇心の育て方(旬報社)」がある。