子どもの経験領域を広げる3つの○○とは?

小学2年生の女の子と
トレッキングを楽しんだ時の話です。

標高差、450m程の低山でした。

自分の膝の高さ程ある岩を登り続けたり
時には崖から下ったり
彼女の初トレッキングは
ハードなものだったかもしれません。

~立場を超えて~

森の中の沢に辿り着いた時

「ねぇ、今どのくらいドキドキしてる?」
「すっごい、ドドドドドドってしてる!」
「同じだね~」
「うんうん、同じだね」

と、顔を見合わせ
笑い、一呼吸置いて進み始めると

彼女は私の前を歩くようになり
「登りの方が楽だね」
と、グングンと進んでいきます。

時おり、後ろを振り向き
「ここに足を置くと滑らないよ」と
私をサポートしようとしてくれるんですね。

同じようにドキドキしていると
知ってから
彼女が変わり始めたように見えました。
私は彼女にとって大人ではなく
仲間に変わった瞬間だったのではないでしょうか。

仲間がいる事で感じられる
経験もあるんだと思います。

ふと、隣にいる仲間を見たときに
手を差し伸べたり
声を掛けたり
歩幅を合わせてみたり

いつの間にかしていた行動が
後になって、
「助け合う」という言葉に
結びついていると
気づくことが
とても自然だと
その時、感じたのを覚えています。

子供と大人という、立ち位置にいると
経験・知識・体力…さまざまなな差がありますね。

一緒に何かに取り組む時に
大人という立場を一旦横に置いて
大人だって失敗しちゃうし
大人だって怖いこともあるんだよね。と
子ども達の前で素の自分で在りたいと
私は思っています。

「助け合いが大切です」と伝えることも
良いことなのですが
言葉だけを与えるのではなく
気づいたら「助け合ってるじゃん」と
感じられるような
たくさんの経験の
種を蒔き続けることが
求められているのかもしれませんね。

それは協力・実現・褒める…など
多岐に渡る経験と同じだと思います。

~どうしたいのか?を決める経験を~

しばらく進み
険しい山道を抜けると
平らに開けた林道と
見上げるほど急な山道が交差していました。

どちらの道を選ぼうか
しばらく悩んだ彼女は

「ワクワクするから!こっちへ行こう!」
「目を瞑ったって歩ける平らな道じゃ、つまらない」

と、私に林道を目を瞑って歩けるとやって見せ
山道を選びました。

山頂に辿り着いたことよりも
その分岐点で
ゾクゾクすることを選んだ自分自身に
とても楽しさを感じたと
何度も何度も教えてくれました。

もし、分岐点で
平らな林道で行こうよ!と

もう、疲れているし
もう、ゴールも近いし
もう、時間ないし
待っている人がいるから急ごうと

それらしい理由を言って
選択を私がしてしまえば
彼女が自分で選択する大切さ・喜びを
経験出来なかったかもしれません。

やりたい事を選択するというのは
経験の領域を広げる
重要な起点であると思います。

~存在そのものがサポートに~

サポートとはなんだろう?
と、考えてみると
グッと引き上げるような力強さだったり
うんうんと話を聞くことも
ヒントを与えるようなことも含んでいていると
思っています。

色々なスタイルがある中で
今回、強く感じたことは

平らな道を用意することでもなく
先導して先を歩むことでもなく
感情が動く時こそ
同じ目線の仲間として
そこに立ち
支援していくことも
私たちにできる一助だということです。

万が一転落し
大けがをしてしまわないようにと
手をずっと繋いでいることが
サポートではなく

いつでも
助けてあげられるように備え
例え、足を滑らせても
また立ち上がり
進んでいけるように
そこに
存在することこそが
本来の姿なのだと
感じた経験でした。

ABOUTこの記事をかいた人

伊藤直子(なお) 「子ども達は大切な事を知っている」を信念に、共に創る・一人一人と同じ目線でいること・「アンラーン」で在り続け目の前のことから学ぶ姿勢を大切に、講師でいるよりも一人の人として関わっていたいと思っています。アクティビティインストラクター養成講座も不定期開催中。 プロジェクトアドベンチャー非常勤ファシリテーター/グロースNT(代表)