「悪い行動を改めてほしい」と
感じるとき、同時に
嫌われたくないという
感情が邪魔をして注意をしたくないと
心の根っこで無意識に感じている時があります。
「怒る」と「注意する」の違いを理解して
冷静に論理的な
アプローチを行うことが大切です。
●ご質問
スポーツでコーチをしていて、
他人の子どもに対する注意の仕方が難しい。
●どんな状態を望みますか?
できることなら注意はしたくないので、
質問をすることで、
子どもたち自身が考え、進んで行動するようになってもらいたい。
ご質問ありがとうございます。
僕自身もコーチをしていた時に、
子どもたちを怒ったり、
注意をしたり、
叱るということができませんでした。
理由を思い返してみると、
自分自身の奥にある感情が
そうさせていたのかもしれません。
本当は、
「悪い行動を改めてほしい」と
望んでいたにも関わらず、
「子どもたちに嫌われたくない」という
感情が根っこにあり、
注意をしないことで
それを回避しようとしていたのです。
「怒る」と「注意する」の違い
まずは、
「怒る」と「注意する(叱る)」の違いを
整理することが必要です。
子どもたちの間違った言動や
適切でない言動に対し、
「怒りの感情」が生まれ、
その感情をそのまま子どもたちにぶつけ、
非難することが「怒る」です。
それに対して、
「注意する」とは、
怒りの感情をそのまま表さずに、
冷静に、論理的に、
「なぜいけないのか」
「どうすればいいのか」
「どうして欲しいのか」
を伝えて、
適切な言動をとってもらえるようにすることです。
どうして注意をしたくないのか?
けれど、
そもそも、どうして注意をしたくないのか?
と考えてみることも大切です。
「どうして注意をしたくないのか?」
この質問の答えの奥にある感情に
目を向けてみましょう。
僕と同じように
「子ども達に嫌われたくない」といった感情を回避するための、
「注意をしない」という行動は、
本当の意味で子どもたちのためにも
チームのためにもなりません。
子どもたちは
どんどんとエスカレートし、
ふざけはじめ、
収拾がつかなくなることもあるでしょう。
凜とした対応をする
注意をしなくてはならない時は、
凛とした対応が必要です。
だらだらと長く注意をし続けることは
効果的とは言えません。
短く、端的に、
「なぜいけないのか」
「どうすればいいのか」
「どうして欲しいのか」
を伝えることが大切です。
人格を否定しない
けれど、
その時に気をつけたいことが、
「人格を否定しないこと」です。
忘れ物をしたり、
シュートを外してしまったり、
集中力を持続できない
子どもに対して、
「だからお前はダメなんだ」
と人格を否定してしまうことは、
絶対に避けなければいけません。
行動と人格は切り離して考え、
注意するべきであり、
人格を否定されてしまうと、
子ども達は自信をなくし、
やる気や行動が生まれなくなってしまいます。
人格を否定してしまう時の特徴は、
「行動を注意すべき」なのに、
「怒ることが目的となってしまう」ことです。
チームのルール(約束)をつくる
一方で、
「昨日は怒られなかった」のに、
「今日は怒られた」となると、
子どもたちは納得がいきません。
僕たち大人の気分や都合で
怒られることを子どもたちは嫌うのです。
それらを避けるためにも、
「僕たちのチームがやらないこと何だろう?」
「魅力的なチームがやらないことは何だろう?」
「やめたいことは何だろう?」
といった具合に
チームで、
「やってはいけないこと」や「やらないこと」を、
明文化したり、
見えるようにしておくという
アイデアが効果的です。
ルールづくりに子どもたちが参加する
その際に、
より効果を発揮するポイントは、
「子どもたちと一緒に作ること」
です。
大人に勝手に作られたルールよりも、
自分達も関わって作ったルールの方が、
「守ろう」という意欲が生まれるものです。
ルールを定期的に見直す
そして、
「一度作ったら終わり」ではなく、
定期的に見直す機会を作りましょう。
あらたに必要だと感じたルールもあれば、
必要性を感じなくなったルールもあるかもしれません。
また、
新しいメンバーが加入するごとに、
見直すことによって、
新加入選手のやる気にも影響を与えることができます。
何度も何度も見直し、
自分たちだけのルールを磨いていきましょう。
おわりに
いかがでしたでしょうか?
「絶対にしてはいけないこと」が明確になっていれば、
凛とした対応を子どもたちにすることができます。
また、
ルールづくりに子どもたちに参加してもらえば、
僕たち大人がいちいち注意をしなくても、
子どもたちは自分たちで気づくこともできます。
ぜひ、
実践していきましょう。
◎まとめ
- 怒ると注意するのは違う。冷静に「なぜ」を伝えよう。
- 自分が注意したくない理由に目を向け、子どもたちのために注意しよう。
- 凛とした対応が大切。短く端的に、理由を伝えよう。
- 行動を注意すべきで、人格を否定しないようにしよう。
- チームのルールを一緒に作り、定期的に見直すことで子どもたちの協力を得よう。