「お母さんがやりたいことを大切にすると、子どもも輝き出す」藤原久美子さんインタビュー

藤原 久美子さん(ママの働き方応援隊 信州中央校 代表)

1980年長野県松本市生まれ。 男児2児子育て真っ只中。溺愛絶賛バカ親中。子どもとのコミュニケーションにしつもんはピッタリと家庭で活用中。▶ facebookはこちら

 

 

「良い子への子育て」への葛藤

藤代 しつもんメンタルトレーニングとの出会いはどこからでしたっけ?

藤原 信州大学の先生が1冊目の出版講演会に誘ってくださったのがきっかけです。その頃、末っ子が1歳か2歳だったんです。親に子どもを預けて会場に向かいました。最初は「講演会」と聞いてちょっと構えて行ったんですけど、もう全部ワークだったんで、楽しくて仕方なくて!サッカーがテーマだったので「私サッカーじゃないしな…」と思いながら行ったことを覚えています。でも、実際に体験してみると「絶対これは家庭でもできるな」と思って。そこからです。

藤代 おお。なるほど。特に当時は、悩みがあったわけではなかったんだよね?

藤原 特に悩みはないです。けど、あんまり親が物事を押し付けるような育児はしたくないなと思ってはいました。

藤代 へえ、それはどうして?

藤原 私の人生ではないので。

藤代 (笑)それは生まれつき、そう思っていたの?

藤原 生まれつき…

藤代 その考えは、何かきっかけがあって大切にしたいと思い始めたのかな。この子はこの子の人生があるなって。

藤原 私は「ママの働き方応援隊」というNPOの受託事業チームをひとつ持っているんですけど、そこに関わるようになってからかもしれません。でも、もともと私はどっちかというと「親に言われて自分が何かを決める」ということができずにいたんです。

藤代 自分は違ったんだ?

藤原 うーん、何か決めたいと思っても、それは、という感じで。あんまり決められなかったので。それで、特に長男は親の言うことを素直に聞ける子なんです。子どもらしいガチャガチャしたところがない。逆に、手をかけ過ぎちゃったのか少し思うところがあって。

藤代 うん、うん。

藤原 そこまで親が決めてきたのに今さら「自分で決めなさい」というのもよくないなと思って。意識的に小さいうちから自分で決められるようなことを実践したかったんです。

藤代 なるほど。

藤原 そのようにしてあげたいなと思ってはいたんですけど。やっぱりなかなか「あれしなさい、これしなさい」と言いがちで。

藤代 言いたくなりますよね。

藤原 宿題は終わった?のと。

藤代 言いたいしね。

藤原 そう。だけど、「言いたいけど我慢する」でも、子どもは結局やらないしなぁと葛藤することはあって。

藤代 なるほど。

藤原 それで、講座を受講したのかもしれません。

 

子どもの夢「トレジャーハンター」の本当の意味

藤代 そうか、なるほどねぇ。受けてくれて、実践してみて、何か変化はありましたか?

藤原 ある日、子どもに「大きくなったら何になりたい?」と聞いたんです。

藤代 うん、うん。

藤原 子どもは「トレジャーハンター」と言ったんです!

藤代 おお。おもしろい。

藤原 私は「なんじゃ、そりゃ」と思ったんです。

藤代 それは何歳のときに?

藤原 小学校2年生だったかな。

藤代 へえ。おもしろい。トレジャーハンター!

藤原 その時、妖怪ウォッチというアニメが流行っていて、それで「トレジャーハンター」かぁと思っていたんですけど。でも、まあ聞いてみようと思ってさらに質問してみたんです。

藤代 うん、うん。

藤原 「トレジャーハンターになるとどんな未来があるの?」と聞いていくと、最終的には「僕は旅に出て、何が必要か自分で考えたいんだ。それで、けがをしてもすぐに治せる薬を作りたい」って言うんです。

藤代 へえ!

藤原 注射は痛いから、注射をしなくてもいい薬。自分は飲み薬は飲めるから飲んで治る薬を作りたいとか。

藤代 すごいね!

藤原 そんな話が出てきてとても驚きました。その先には、「でもやっぱり死んじゃった人を生き返らせる薬を作りたい」と言いはじめるんです。でも「ちょっと、待って!ママが苦しんで苦しんで死んだ時は、そのまま静かに死なせてね」とお願いはしたんですけど(笑)

藤代 生き返らせないでね、と(笑)

藤原 生き返らせないでね、と(笑)でも、真面目な顔で「不慮の事故とかで、まだ生きたかったのにという人を救う薬をつくりたい」って言うんです。

藤代 その子にはどうしてそうした答えが芽生えたか、思うところはある?

藤原 全然ないんですよ!

藤代 へぇー、じゃあまたそれはまた聞いてみたいね。

藤原 そうですね。聞いてみたいですね。でも、いまは4年生なんですけど最近は「ラーメン屋さんになりたい!」と言い始めたんです。

藤代 ほおー。

藤原 トレジャーハンターはどこ行った、と(笑)

藤代 (笑)ちなみにラーメン屋はまだ聞いてないの?その先は。

藤原 ラーメン屋はラーメン屋で完結だったんです。

藤代 ラーメンが好きだから。

藤原 ラーメンが好きなんです。あ、でも、自分で色んな所をまわって、自分が一番良いと思うラーメンをつくりたい。だからお野菜も消毒とか使ってないお野菜を使って、みたいなことを言ってます。

藤代 なるほどね。2つの共通点は「旅」がありそうじゃない?

藤原 ああ、そうなるのかなあ。

藤代 いま、そう思っただけだけど(笑)

藤原 ええ(笑)

藤代 ひとつ目も旅がキーワードだったよね。トレジャーハンターするなかで医療と物をみつける。ラーメンもラーメン屋さんを作るだけじゃなくて、旅をして色んな素材を見つけたいと。

藤原 そうですね。色んなのを買う際に…あ、親?親から離れたいのかな?あの子は。(笑)

藤代 いや、いや。そうじゃなくて、もっと本当に良い物を見つけたいんじゃない?(笑)

藤原 探究心はあるのかな。担任の先生には、立派なオタクになれますとお墨付きを頂いているんです。

藤代 好奇心旺盛なんだね。

藤原 普段はそんなふうに見えないんですけどね。

藤代 へえ。頭の中で考えているのかな?

藤原 かもしれないです。

 

お母さんがやりたいことを大切にすると、子どもも輝き出す

藤代 (しつもんメンタルトレーニングを学んで)自分自身には変化がありました?

藤原 私自身ですか?子育てはしやすくなったなと思います。

藤代 どうして?

藤原 自分の声かけが私のストレスにならない声かけをしているんです。

藤代 あー、なるほどね。

藤原 昔は、言いたくないのに言っちゃってる声かけしか知らなかったけれど。しつもんメンタルトレーニングを知ってからはストレスがだいぶ少なくなりました。

藤代 昔よりも自分らしく関われているなと実感することあります?

藤原 うーん。そうですね。大きな罪悪感があったわけではないけれど、必要以上に干渉しなくなったかな、子どもに対して。

藤代 なるほどね。過去の自分はどうして干渉していたのかな?また、今はどうして必要以上に干渉しなくなったんだろう?

藤原 振り返って考えてみると、見ているところが子どもしかなかったんだなとすごい思ってます。

藤代 なるほど。

藤原 お母さんだから。

藤代 いまは違うの?

藤原 お母さんだけど、お母さんはお母さんでやりたいことがあることに気づいたんです。本を読むにしても、ママの働き方応援隊の仕事をするにしても、子どもと机を並べて仕事ができるようになりました。

藤代 なるほどね。前は横でずーっと見てたの(笑)?

藤原 ずーっと見てはないですけど、他に家事育児をする中でやっぱり意識はいってたと思うんです。

藤代 そうだよね。

藤原 すごく感じたことがあったんです。朝晩、保育園に送り迎えに行く度に、先生は保育園であったことを伝えてくれる日常でした。小学1年生にあがったときに、子どもがひとりで帰ってくることが多くあったので、当初は、途中まで迎えに行ってたんですね。そうしたら2週間ぐらいしたら子どもから「もう来なくていいよ」と言われたんです。正直「えっ?」と驚いて。

藤代 どうして?

藤原 子どものことが心配だったんです。でも、学校からも家庭からも開放されるその20分が彼にはすごく充実した時間だったようなんです。

藤代 なるほどね!

藤原 ぼーっと山を見ながら歩いてくるだけなんだけど、その時間がすごくリフレッシュというか充実した時間だったみたいで。

藤代 へえー!

藤原 そんなこともあって、そうか、必要以上の干渉をしない方がいいのかなと思うようになりました。言葉をかけていたわけではないけれど、何も言わなくても彼にプレッシャーを与えていたんだなぁと思って。

藤代 なるほどね。

藤原 その部分では、悩みというほど悩んでいないですけど、気にはなっていて。あまり干渉しない方が良いと思っていたけど、宿題の件とか何もしないとか、やる気が見えないとか。私が求め過ぎちゃうところがストレスにもなるし。そういうところで、やっぱりしつもんメンタルトレーニングは良いきっかけになりました。

藤代 なるほどね。確かに、ひとつひとつの事象や言葉のに対して感情的になって反応するのではなく、一度立ち止まれるようになると少しは楽になるよね。

藤原 そうですね。

藤代 今後は何かこんなことをやっていきたいというのはありますか?

藤原 いま私がやっている活動の中でメンバーのママたちが年に1回ブラッシュアップする機会があるのですが、その会をもう1回見直そうという機会があるので、質問を活用しようと思っています。ママたちは、子育てや家事や育児、家庭で忙しいけれど「違うよ!子どもたちが輝いて未来に向かって歩いて行くには、ママが毎日楽しく輝くこと。子ども達もそういうところを見ているんだよ」と伝えたいんです。ママが好きなことを好きなようにやって、家庭でニコニコしているとパパがニコニコして帰ってこられるんだよと(笑)

藤代 ぼくもそう思うなぁ。

藤原 そうそう。だからしつもんメンタルトレーニングを使わせてもらって、自分がいま、本当に大事にしていることをもう1回思い返してもらったりしようかと思っています。

藤代 いいですね。

藤原 10年後20年後どうなっていたいか?と未来に思いを馳せるワークシートを使って、「現実的にお金がない」とか「子どもが何歳だからお金がない」とかそんなこと考えるのではなく、「20年後、本当に何をしていたい?」か書いてみようよ!とドリームマップを作ったりする中で、私たちのチームももう1回立ち返ったりしたいと思っています。

藤代 なるほどね!

藤原 あとは、(今までのしつもんメンタルは)やっぱり例がサッカーが多いので団体競技に向けてのメッセージかなとも思いますが…私は陸上をやっていたので、そちらにも力をかけられたらいいなぁと思っています。

藤代 おおっ!!

藤原 個人種目でも学校全体のチームとして行く(出場する)とそれぞれの種目ではあるけれども、やっぱりチーム力は大事だなということを感じるんです。学校単位や選抜、県選抜は色んな学校から集まるので、そういうところでも全国大会に向けてチーム力をつくるというところでは、すごく良いんじゃないかなと。

藤代 ぜひ、それはやってほしい。

藤原 密かに思っています(笑)あとは、勉強の方でも塾や勉強合宿に参加する子ども達にも初日のチームづくりに実践できたら良いですね。

藤代 関係性を作る。確かにね。

藤原 そういうところでもやっていけたらなと思っています。

藤代 ぜひ、やってください。ぜひぜひ(笑)でも、最初に言ってたお母さんのところは、僕には伝えられない部分だから伝えてほしいなぁ。実感や体験がないからさ、僕は。お母さんじゃないしね。本当の実体験を言えるところはぜひ伝えて欲しい。

藤原 お任せ下さい(笑)大きく出た!(笑)

藤代 (笑)ありがとうございました。

藤原 ありがとうございました。

 

 

ABOUTこの記事をかいた人

藤代 圭一

一般社団法人スポーツリレーションシップ協会代表理事。 しつもんメンタルトレーニング主宰。   「教える」のではなく「問いかける」ことでやる気を引き出し、 考える力を育む『しつもんメンタルトレーニング』を考案。 全国優勝チームなど様々なジャンルのメンタルコーチをつとめる。   著書に 「スポーツメンタルコーチに学ぶ『子どものやる気を引き出す7つのしつもん』(旬報社)" 「サッカー大好きな子どもが勉強も好きになる本」(G.B.)「惜しい子育て」(G.B.)「『しつもん』で夢中をつくる! 子どもの人生を変える好奇心の育て方(旬報社)」がある。