「親としての自分を責めてばかりいた」比嘉美樹さんインタビュー

 

比嘉美樹さん(アロマコンディションサロンorangetree 代表)

「アスリートアロマトレーナー」としてサロンでのケアや出張ケアを主な仕事とし、沖縄県内のスポーツ大会や部活動でもサポートを行っている。2017年より2020年7月まで、アロマケアや「しつもんメンタルトレーニング」を活かし、北中城高校男子バスケ部をサポート。また、ジュニア期の怪我を防ぐ「パパママトレーナー講座」講師としても活躍している。その他、沖縄県内で教育委員会主催の保護者向け講座や、小学校・中学校のPTA主催による精油をスポーツケアに活用する講座を開催。沖縄県内全ての学校でしつもんメンタルトレーニング講座を行うのが夢。3児の母。5人家族。長男・高3(高校球児)長女・小6(フラダンス)次男・小3(サッカー)

 

「親としての自分」を責めてばかりいた

藤代 最近はどんな活動をしていますか?

比嘉 最近はスポーツをがんばる子どもたちに精油を使ったコンディショニングケアをしたり、スポーツをしている子どもの親御さん向けにしつもんメンタルトレーニング講座や精油を使った自宅でのケアをお伝えする講座を毎週開催したりしています。

藤代 アロマケアもやってるよね?

比嘉 アスリートアロマトレーナーの活動もやってます。

藤代 もともとはどういうきっかけでしつもんメンタルトレーニングを知ったの?

比嘉 もともとはアロマスクールをしていたんです。そこで、子どもがスポーツでつまずいたときにいろいろ検索して、そしたら藤代さんが出てきた。「これなんだろう?」と読んでいるうちに、「あ!おもしろい!」と思って「映像受講でいいなら」と申し込んだのがきっかけですね。

藤代 おー。最初は映像受講だったんだね。当時は何か課題で悩んでいたの?

比嘉 小学2年生から子どもがスポーツ(少年野球)をやっていて、子どもがだんだん本気になってやっているのに対して、どういった声掛けをしていいのか悩んでいました。周りの保護者との付き合いだとか、そういうことに結構悩んでいたかな。

藤代 実際に現象として起きてたわけではないの?例えば、言い過ぎちゃって子どもがやる気なくなっちゃったとか。そういうわけではなく…?

比嘉 子どもの体調にちょっと変化があって、、、身体のケガと心のケガが同じ時期にきた。その時に親として親の自分を責めることしか出来なくて。学校に行く子どもを見ながら泣いたり。でもどうしていいか分からず…という時に出会ったかもしれない。

藤代 なるほどね。それで学んでみて、印象に残っていることや良かったことはありますか?

比嘉 やっぱり子どもに対しての声掛けが変わってきた。すると、子どもの行動も変わってきて、私としても他の保護者とか指導者との付き合いが嫌じゃなくなった。そう言ったらおかしいかもしれないけれど。

藤代 自然にできるんだ。

比嘉 そうそう。

藤代 具体的にどんな感じからどんな感じに変わったの?

比嘉 なんだろう、保護者の方でもいろいろ考えがあって。子どもたちが頑張りたいと思っているはずなのに、大人の方が指示してコントロールして、それで満足してるという親がいて、「そんなものなのかな?部活動って」と思いながら見ていた。でも、息子と話してみたら、「自分たちで言われたこと以外もやりたい」という話をしてきた。部活動にあまり関わっていなかったけれど、子どもの「やりたい」という気持ちを聞けたから、「君たちが頑張れる環境を作れるようにサポートするよ。応援するよ」という、サポートしたい気持ちに変わったのかもしれない。前までは他の人の機嫌を取りながら気を使ってやっていたものが、「いいよ!」って子ども中心に考えることが出来て、そしたら…

藤代 本当に子どもの第一応援者になれたんだ。

比嘉 そうですね。

藤代 うんうん。

比嘉 今、高校2年生で野球をしてるんだけれども、、、(注)

藤代 ほー。

比嘉 来年はあまり仕事はしないように、と言われました。

藤代 3年生だから?(笑)

比嘉 3年生の夏だから全力で僕らに取り組むように、みたいな感じ。(笑)

藤代 (笑)おもしろいね、それ。いいね!嬉しいね!
普通、中高生になるとさ、ちょっと距離を置きたくなる。でも、それでも僕のことを応援してよって言えるの、すごいね。

比嘉 そうですね。今、仕事で関わっている男子高校生のバスケ部がよく私の息子の学校と試合することがあって、会場で顔を合わせるんです。県内ベスト4のチームなので試合の帯同で野球の応援にいけないこともあったので、そういうのを見ていて、来年は野球の父母として応援をメインに手伝って欲しいと。嬉しいですね。

藤代 それは嬉しいね!

(注:インタビューは2019年)

 

「物の見方や考え方が変わった。こういう気持ちは大人になっても忘れない」

 

 

藤代 実際、インストラクターやトレーナーとして活動してくれて、印象に残っていること、嬉しかったことは何かありますか?

比嘉 部活動サポートで関わった高校3年生、彼らが高校1年、2年と2年半と関わってきて、その子たちにしつもんメンタルトレーニングの感想を書いてもらいました。これまで受けてみてどうだった?とアンケートをとった時に、「1年生の頃の自分と3年生の今では物の見方とか考え方が変わった」と。それは比嘉さんが色々教えてくれたからと言われて。「なので僕たち、大人になってもそういう気持ちは忘れない」と書いた子がいました。

藤代 それは嬉しかった?

比嘉 うん!すごい反抗期があった子たちだったので。

藤代 (笑)

比嘉 よかったですね。

藤代 いいね。他には?

比嘉 他には、私はインストラクターを養成する側にまわっていますが、そのインストラクターの人たちが「はやく講座をしたい!」と言ってくれた時。「もっと早く会いたかったー!」とかそういうのは嬉しいですね。そして活動報告を聞いたときに、「よかったな〜」と思います。

藤代 僕もね、初めてインストラクター養成講座をやった時はとてもドキドキした。本当にこれに価値あるんだろうか、誰も来てくれないんじゃないかなとか思いながらやってたんだよね。その、実際に養成講座をやってみて、仲間が増えていくことはどう捉えてる?どう感じてる?

比嘉 仲間が増えていくことに対しては、やっぱり嬉しい気持ちと、責任がすごいあるんだなって。

藤代 へー。

比嘉 ふじしーのように扱いきれないけど、やっぱり持って帰ってもらわなきゃと思う分、前準備が回数を重ねる度に増えてきてる気がします。

藤代 そうなんだ(笑)。

比嘉 そう、回数を重ねる毎に若干不安度が増しながら。終わった時の爽快感と。

藤代 へー。いいね、いいね。

比嘉 23名なのかな。(注:2020.5月現在 29名に)

藤代 えっ?!すごいね!

比嘉 すごいのかは知らないですけど。皆に届いているだろうかと不安になったりしながら。10か条を頭に入れてやっています。

 

しつもんをしているだけなのに、表情が変わっていく

 

藤代 美樹さんは、講座を行っていてどこに楽しさや面白さを感じる?

比嘉 ん〜。やってて…。講座をやってて…。

藤代 講座でもいいし、養成講座でもいいし。

比嘉 しつもんをしてるだけなのに、皆が全然違う表情になっていくことが本当に楽しい。「こんな表情するんだーっ」と前に立ってみてる感じです。

藤代 あー、確かに。それは僕が講師をやりたいと思った時と同じ感想かもしれない。一番初めに僕が5分間だけ前に立ってワークをやったことがあったのね、未来質問なんだけど。当時は未来質問が僕は全然出来なくて、ルールもあまりちゃんと把握できていなくて適当にやったんだけどさ。それでもすごい変化が起きた。みんなすごい良い表情をしていて、それを前からみた時に、「ああ、僕はこういう時間を増やしていきたい」と思ったのを今でもすごい覚えてる。

比嘉 はじめはね、みんなに「何するんだろう…この人…」という感じですごい見られてて。そこで進めていきながら、結局は受講者の方は前を見るんじゃなくてグループを見るようになる。話が止まらないくらい盛り上がる人がいて、見ていてすごい面白いなって。「そういう顔がみんなできたらいいのにな」って思いながら見ています。

 

言葉や国は違っても、喜んでもらえる講座

藤代 いいね〜。今は沖縄のチームにも行ってるし、県外や全国いろいろ行ってるし…すごく印象的だったのが中国の子たち。

比嘉 中国ね。

藤代 あれはすごい。中国の子たちが日本に野球の遠征、合宿に来たときに?

比嘉 うん、そう。来たときに空いてる時間に野球以外のことを学ぶ時間が欲しいと

藤代 やってほしいとオファーがきて実施した、と。通訳の人いた?

比嘉 通訳の人は一緒に中国から来た人で中国人。大学の先生でした

藤代 うん、うん。

比嘉 この人がよかった。通訳するときって、私が話して(通訳の人が直接)伝えるのかなと思ったら、一度私に日本語で確認してきて、これはこういう意図があってこういう質問でいいですか?と1個ずつ聞いてくれたんですよ。それがよかった。

藤代 おー。

比嘉 ちょっと違っていたら「違います」と言って、こういう話でと言ったら「あ、じゃあ分かりました」と言って、その人がちょっと盛り上げて話してくれたりとか。素敵な感じ。楽しかったですね。私は中国語を喋れないけれど、子どもたちとジェスチャーでやりとりしながら。WISHリストは楽しめましたね、言葉が通じなくても。

藤代 へー。どうでした?監督さんとか通訳さんとか、どんな感想を持ってくれました?

比嘉 ものの考え方としてすごい小さい子から大学生くらいまで使えるということ。また、大学の教授の先生が通訳だったんですけれど、その大学でも進路説明会のときにこういうふうに質問して考えてもらってるから、これをこの学生にも使えるというのがすごい発見だと。環境的に、子どもたちは「誰かのために」というふうに国で習って育っていない。それが「『皆で協力しなきゃいけないね』という答えがカウントゲームで出てきた時は衝撃的だった」と言われました。日本ならね、チームワークという言葉が出るときなんだけど、向こうでは出ないんだよって言われてびっくりしました。

藤代 なるほど。それはでも、喜んでくれたのかな?

比嘉 喜んでくれました。喜んでくれて、そのまま親に話します、と。

藤代 お〜!いいね。

比嘉 よく言いますね。中国の話。

藤代 僕、嫉妬してるから(笑)。いいな〜って。中国の子に僕もやりたいな〜(笑)
他に、活動していて印象に残っていることはありますか?

比嘉 子ども向けに活動することが多いのですが、講座のときは子どもだけということじゃなくて、それを見ている保護者が何人かいるじゃないですか。見てる保護者の人たちが「これは大人がやるべきですね!」と大人同士で言ってくれて、「じゃあ大人は次回に」と言ってくれたときは嬉しいなと思います。

藤代 うんうん。

比嘉 最近は立て続けにたまたまサポートに入ったチームが、県で優勝したり地域で優勝したり。その優勝した直後に動画を撮って、「しつもんメンタルトレーニングありがとうございました!」って賞状持ってきてくれたときには、もう嬉しかったですね。

藤代 お〜!!それは嬉しいね!

比嘉 興奮の状態で。

藤代 皆の中に残ってるってことだもんね。

比嘉 そうですね。

藤代 いいね、いいね。

比嘉 いいですね。嬉しいですね。

 

沖縄県にある全部の学校に行きたい

藤代 今後はどんなことをしていきたいですか?

比嘉 今後はインストラクターを増やすことを頑張りたいです。今まで通り、活動を広げていきたいです。

藤代 今まで通りというとどんな感じ?

比嘉 もちろんメインのアロマのトレーナーをしながら、「しつもんメンタルトレーニング」をできれば沖縄県の学校全部行きたいんですよ。

藤代 いいね!(笑)行けるんじゃないの?行けない?

比嘉 行きますけど!(笑)

藤代 行きますけど!(笑)

比嘉 知ってもらって、親やチームが興味を持ってもらえるとその子たちに届くのですが、やっぱり親が、そういう興味がない人たちがまだいっぱいいる。だから、そういう子たちに届けるにはどうしたらいいんだろう…と考えたときに、学校に入ればいいんだ!と思って。なので学校に呼んでもらえるように、いろんなところで活動して、実績を少しずつ積んでいくことで信用されて呼んでもらえるじゃないですか。

藤代 確かに。

比嘉 だからちょっと頑張って、呼ばれたところは全部行こうと思って行ってます。

藤代 結構行ってるよね?既に沢山。

比嘉 はい、結構行ってます。

藤代 全て行くんだもんね(笑)

比嘉 はい、全て(笑)

 

しつもんメンタルトレーニングは「心の根っこ」

藤代 それって、「沖縄の子たちに」という思いがある?

比嘉 そうですね、あ、でも沖縄だけではないんですけど。沖縄の子たちは大きくなると沖縄を出ることが多いので、そういうときにも困らないようにと言ったら大げさかもしれないけれど、思いはあります。「しつもんメンタルトレーニング」は心の根っこの部分だと思うので、そこを届けてあげたいなとは思いますね。

藤代 なるほどね。沖縄でずっと生活していくにしても、全国に行ったり海外に行くにしても、「自分で考えて、自分らしくいくように」ということだよね。いいね。

比嘉 いろいろなメンタルトレーニングがあると思うんですけれど、その中で「しつもんメンタルトレーニング」は間口が広いというか入りやすいものだと私は思っています。「これってジュニア向けなのかな?子ども向けなのかな?」と思ったこともあったんですけれど、それよりも、アスリートの人とかでもやっぱりここ根っこの部分が満たされてないとダメ…ダメと言ったらおかしいけど。ここ根っこの部分ができてることで強くなれるんじゃないかな?と思うことが最近よくあります。

藤代 ふーん。

比嘉 本もいろいろ読んで、メンタルトレーニングもたくさんあるけれど、根っこの部分が大事だなと思って、ふじしーのテキストとかを見ながらすごいなって、前より感動してるかもしれない。

藤代 一応考えて作られているんですよ!(笑)

藤代比嘉 (笑)

比嘉 そりゃそうですよね!(笑)。ほんとすごいなって。インストラクター養成講座をしながら、「すごくないですか?!」と講座を進めながら、何回言うかなって思うくらいすごいなって思ってます。10か条を話ながらも、こういう視点で考えたり、ものの見方を変えるだけで本当にいろんなことが変わっていくので。すごいですね、ふじしー。

藤代 いやいや(笑)。僕だけが頑張ってるだけじゃだめだから。美樹さんは美樹さんなりにやってるから、ちゃんと届くようになってる。

比嘉 ふじしーの「みんなに届けたい」という想いがね、やっぱり大事だなと思っていて。それは私だけでは無理なので、ね。いくらちっちゃい沖縄でも、インストラクターの方をいっぱいにしたいですね。

藤代 チーム沖縄でね。

比嘉 そうですね。

藤代 何か言い残したことあります?

比嘉 言い残したこと…うーん?言い残したこと…みんなが自信を持って「しつもんメンタルトレーニング」を開催してくれたら。大人も子どもも、その人らしく輝けるときが本当に来るんだなと思っています。

藤代 うんうん。ほんとですね。今日はありがとうございました!

比嘉 ありがとうございました!