Jリーグ技術委員長の上野山信行さんは
著書・日本のメッシの育て方の中で、
子ども達に与えるのは問いかけだけでいいのです。
その問いかけによって気づかせることこそが重要です。
と仰っています。
人生と同じように、
サッカーもそもそも正解がないスポーツです。
もちろん技術を向上させる上で、
ガイドや教えるといったティーチングも大事。
それと同じように問いかけがとても大事だと思っています。
昨日は神奈川県の厚木市で活動している
南毛利フットボールクラブで
メンタルトレーニングをさせて頂きました。
彼らは現在3・4年生。
1ヶ月前に目標設定を行い、
今回はセルフコントロール(心の状態をつくる方法)を学ぶ上で、
子ども達に質問してきました。
質問すると子ども達は考えはじめる
まずはじめに子ども達に質問をしました。
方法は簡単。
僕が質問して、子ども達に答えを書いてもらう。
そしてその答えを2~4人のグループで伝え合うというものです。
その時にひとつだけルールを作ります。
それは、「どんな答えも正解」です。
算数と違ってサッカーや人生には答えがないように、
ここの答えも全て正解。だから何でも書いていいよと伝えてあげると、
子ども達は答えを書き出してくれます。
「どんな時に緊張する?」
「みんなの前で発表する時」
「PKの時!」
「じゃあ、反対にどんなときにリラックスしてるなって感じる?」
「お風呂に入ってるときとか、マッサージしてもらってるとき!」
「緊張しすぎるとどんなことが起きると思う?」
「体がカチカチになる!」
「声がロボットになる!」
「じゃあ、反対にリラックスしすぎるとどんなことが起こる?」
「へにゃへにゃになる」
「ふざけちゃう」
「ひとまかせにしちゃう」
「じゃあちょっとイメージしてね。
全国大会の決勝戦。たくさんのお客さんが来ている中、
みんなはリラックスしすぎて、今にも寝てしまいそうです。
リラックスしすぎていつものプレーができないかも。
どうやって気持ちを高める?」
「絶対勝とう!と言い合う」
「おうえんしている人たちをみる」
「点をとるときをイメージする」
「じゃあ、反対に、TV撮影も来ていて、
みんな緊張しまくり。体がカチカチになっています。
このままでは実力の半分の力も出せないかもしれない。
どうやって心を落ち着ける?」
「マッサージをしてもらう!」
「目をつぶってしずかにする」
「深呼吸する」
スポーツではリラックスと緊張の間が最適な状態とされ、
競技や自分のプレーに集中でき、一心不乱に取り組み、
まわりの歓声などに揺れ動かされることなく、
自分のベストプレーのできる状態だと位置づけられています。
声がロボットになる!
など表現がかわいいものがありますが、
子ども達ってTVを観たり、大人の話を聴いたりして、
また、自分自身の体験から
何となくこうしたらいいんじゃないかな?
という答えを知っています。
もう答えがあるんですよね。
なので、それを問いかけで引き出してあげる。
ここまで子ども達から答えが出てくれば、
あとはそれを実際にどうやってやるのか。
いつやるのかをみんなで決めていくだけですよね。
もちろん子ども達の中には
答えを思い浮かべることの出来ない選手もいます。
でもそれも正解。
サッカーはチームスポーツですから、
仲間の答えを聴く事で「そういう答えがあったのか」と
気づき、視野を広げることもできます。
子ども達が考え抜いて彼らの口から出てくる物を
大事にしてあげることが最も大切だと思っています。