カール・ルイスを育てたコーチの指導法

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「あの子は運動神経がすごくいい!!」

「うちの子、鈍臭くて、
 運動神経悪いんですよー。」

サッカースクールで
コーチをしていた頃、
子どもたちのお母さんから
よくこんな声を頂いていました。

その度に、
「大丈夫ですよー、
 僕より全然良いですから!」

なんて、
よくわからない慰めにも
励ましにもなっていない
言葉をかけていました(笑)

そもそも
運動神経って何でしょう?

センス?
遺伝?

いえいえ、
運動神経の本来の意味は、

「脳からカラダ中の筋肉へ
動作の指令を送るための神経」

のことをいいます。

たとえば、
目の前にボールが
飛んできたとしますね。

すると僕らは
ボールを目で見て、
その情報が脳へと伝わります。

そして脳が
「危ない!!」と判断して、

各筋肉へ、
ボールをよけるための
指示を出します。

すると筋肉が動く、
というわけです。

このように、
基本的には僕らの
五感で察知した情報が
脳に送られ、

脳がそれらに応じて
どう動くかを判断し、

各筋肉へ指令を出し、
身体がそれに応じた動きをする、

という流れです。
(反射はちょっと違います)

人間は一瞬一瞬の動きを行うために、
このようにとても複雑なことを
行っているんですね。

ですので、
「運動神経がいい人」というのは、

より複雑な情報を、
より的確に脳に送り、

脳が的確に判断し、
各筋肉へ命令し、
より的確に筋肉が動く人のこと。

というわけですね。

「運動神経が良くなる本」の著者、
白石豊先生によると、

自分自身で判断するクセを
つけることこそが、
大脳の働きを活性化し、
運動神経が良くなる。
と仰っています。

僕らはどうしても
手取り足取り教えたくなります。

僕ら大人の方が
知識も経験もありますから、
出来るだけ力になってあげたい。

でも、
そうすればそうするほど、

子どもたち選手の
「考えるチカラ」

つまり、
「脳を動かす機会」
を奪ってしまうことにも
つながります。

ですので、

子どもたちに考える機会を
与えることが、

子どもたち選手の
運動神経を良くすることに
つながるんですね。

あの短距離走と走り幅跳びの
金メダリストである
カール・ルイスを指導した
トム・テレツコーチは

走り幅跳びを指導する際に、

「キミはいま、
 ここに跳んでいる。
 違う。ここに跳べ」

と、
空中での飛び出しの角度の
指導をしたそうです。

けれど、
飛び出しの角度を変えるには
いろんな方法があります。

すると選手が
「ここに跳ぶ」ための方法を
考えはじめます。

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単純な指示をされると、
選手の側が自分でいろいろと考える。
こうやってみようか。
それともこのほうがいいだろうか。
いやさっきはこうしたから、
今度はこうしてみようか。
単純明瞭な指示が、
選手の運動神経をよくする。
– トム・テレツ

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大切にしたいこと。

それは、
子どもたち選手が、
自分自身で考え、
行動し、
成功、失敗を繰り返すこと。

クスリを作るように、
さまざまな材料を調合して、
失敗、成功を繰り返し、
何万とおりもの配合を
組み合わせ、
完成に近づけて行く。

そうした作業が
子どもたちの
運動神経を刺激します。

子どもたち選手が
自分自身で考え、
行動する環境を創りましょう。