選手たちの内発的動機を見つけるステップ

 

「内発的動機づけ」
つまり
自分からやる気を引き出すことは重要です。

選手の動機づけは
「外発的」(報酬や罰)から
「内発的」(楽しさや自己満足)へと
段階的に変わります。

選手のモチベーションを理解するためには、
選手に質問することも重要です。

それに応じてアプローチを工夫し、
楽しさや目的を強調します。

外発的動機づけを内発的へと変える
キッカケを提供し
選手に自らのやる気を見つけさせることが大切です。

 

 

●ご質問
選手に内発的動機づけをするにはどうしたらいいでしょうか?
 
●どんな状態を望みますか?
主体的にトレーニングに取り組んでもらいたい。

 

ご質問ありがとうございます!
今回は、指導者の方からのご質問です。
 
 
心理学では
「やる気」とか「意欲」のことに対して
動機づけという言葉を使います。
 
 
英語では「モチベーション(motivation)」
 
 
この動機づけには
大きく分けて2つの意味合いがあります。
 
 
1つは「他人を動機づける」こと。
 
「コーチが選手を学習に動機づける」
というような使い方ですね。
 
 
もう1つは「基本的な欲求」のこと。
 
「彼はドリブルに対する動機づけが強い」
というような使い方です。
(あんまり言わないですかね)
 
こちらは、
選手の心の中にある欲求です。
 
 
 

内発的動機づけと外発的動機づけ

 
 
そして、
心理学の教科書には必ず載っている
動機づけの2つの種類があります。
 
 
  • 内発的動機づけ(extrinsic motivation)
  • 外発的動機づけ(intrinsic motivation)
 
 
すごく簡単にいうと、
 
学習するためには、
何かをもらえたり、
罰があったり、
称賛されたり、
怒られたりすることが必要だ
という考え方があります。
 
 
  • テストで良い点を取ったらお寿司を食べよう。
  • ホームラン打ったら、好きな物買ってあげるよ。
  • 優勝したらディズニーにいこう!
 
 
こちらを「外発的動機づけ」といいます。
 
 
 
一方で、
 
  • サッカーするのが好き!
  • もっと知りたい!
  • 音楽は時間を忘れるくらいあっという間!
 
と外から与えられる報酬のための手段ではなく、
スポーツや勉強をすること自体を楽しみ、
目的としている欲求のことを
「内発的動機づけ」といいます。
 
 
野球であれば勝敗にかかわらず、
「野球をしていること自体が楽しい」
という状態です。
 
 

活用を工夫する

 
 
これは、
内発的動機づけが良くて、
外発的動機づけが悪いという話ではありません。
 
 
内発的に動機づけることは
時間を要することがありますし、
 
外発的に動機づけると
瞬間湯沸かし器のように、
すぐにやる気は高まります。
 
 
試合前日で、
やる気を失っている選手に対しては、
 
「明日の試合で勝ったら、
 好きなゲームを買ってあげるよ」
 
と伝えれば、
子どもの目の色が変わります。
 
そのやる気は長続きしませんが、
重要な意味をもつ試合であれば、
選択肢の1つとして活用できます。
 
 
 

外側から内側へシフトする

 
 
前置きが長くなってしまいましたが、
今回のご質問は
 
「どうすれば選手を
 内発的に動機づけることができるか?」
 
でした。
 
 
 
仮に、
ご質問者さまが指導する選手が
外発的に動機づけられている傾向があるとしましょう。
 
 
外側(外発)から、
内側(内発)にシフトするには、
4つの段階を理解していきましょう!
 
 
  1. 外発的動機づけ
  2. 注入
  3. 統合化
  4. 内発的動機づけ
 
 
 
 

注入の段階

 
まだ本当に大切だとは思っていないけれど、
表面的には自ら取り組んでいるように
見える状態のことを「注入の段階」といいます。
 
 
  • 「やらないとかっこわるいから」
  • 「やらないとまずいから」
  • 「やらないと怒られるから」
 
というような理由で
子どもたちは動いています。
 
 
 

統合化の段階

 
「やっておいた方が自分のためになると思う」
 
というように、
学習することのメリットを知って、
自ら進んでやろうとする段階があります。
 
 
将来、
スペインのプロ選手として活躍するには、
いまからスペイン語を勉強した方がいいから、
毎週、スペイン語教室に通っている
 
といった具合です。
 
 
 

内発的動機づけの段階

 
 
統合化の段階は、
あくまでも「目的を達成するための手段」としてです。
 
 
「将来、必要だからやっている」ので、
「それ自体を楽しむ」という意味では、
内発的に動機づけられているとは言えません
 
 
「僕は、
 スペイン語の勉強自体が
 楽しくて仕方がない」
 
 
これが4つめの
内発的に動機づけられた段階です。
 
 
 

選手に問いかけて段階を知る

 
 
遊園地に遊びにいったとしましょう。
 
目的のアトラクションに辿りつくためには、
地図を広げ「現在地」の確認が必要なように、
 
選手との問題を解決するときも、
「いま、どこにいるのか?どんな状態か?」
しっかりと知ることからはじまります。
 
 
選手の「モチベーション現在地」を
確認するためのしつもんは、

 

  • 「どうして、いまのスポーツをしているの?」
  • 「どんなときに、楽しいと感じる?」
  • 「いまのスポーツの楽しさは何だと思う?」
 
などです。
 
 
選手の答えを
ジャッジや評価せず、
しっかりと受け止めることによって、
選手の現在地を正しく知ることができます。
 
 
 

現在地から目的地へ歩み出す

 
 
今回の目的は
内発的動機づけでしたから、
 
「スポーツや勉強自体を楽しい」
 
という瞬間やきっかけを
つくることが必要ですよね。
 
 
  • 新しいことを知りたい!
  • 勉強がわかることが楽しい!
  • できなかったことができるようになった!
 
こうした声が聞こえてくるよう、
アプローチを工夫していきましょう。
 
 
  • どんな成長の機会をつくりますか?
  • 知らないことを知るきっかけは何ですか?
  • 新しい知識との出会いをつくっていますか?
 
 
 

外発的動機づけを入り口にしてすすむ

 
 
「やりたくないけど、
 先生がやれといったからやってる」
 
「お手伝いはしたくないけど、
 親がしろと言うからしている」
 
「やるとお小遣いをもらえるから
 仕方なしにやっている」
 
 
日常生活でも、
いやいやはじめたけれど、
やっているうちに楽しくなってきた、
それ自体が面白くなってきた、
ということってありますよね。

最初から内発的に動機づけることは難しくても、
外発的なきっかけをもとに、
近づけて行くようなイメージを持てたら
すっと肩の力を抜くことができます。

 
 
 
いかがでしたでしょうか?
 
 
今回は、
子どもたちのやる気の段階について
お伝えしました。
 
いまの状態を「悪」とせず、
しっかりと見つめて、
より望みの状態へと近づけていきましょう!
 
 

 

◎まとめ

  1. 動機づけは他人を鼓舞する外発的なものと、内部の欲求に基づく内発的なものの2つがある。
  2. 内発的な動機づけは行為そのものが楽しいと感じる状態で、選手の内部欲求に基づいている。
  3. 外発的な動機づけは外部の報酬や刺激に反応する状態で、外部からの要因により行動が促される。
  4. 動機づけは段階的で、注入、統合化、内発的動機づけの段階がある。
  5. 選手の動機づけ段階を理解し、内発的動機づけを促すアプローチを選ぶことが大切。

 

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